2020-01-01から1年間の記事一覧

ツイッターをやめた理由とか。

今年の春に、ツイッターをやめました。 突然だったので、驚いたひともいるでしょう。 ◆ 理由は、「最大限誠実に対応したつもりでも、その誠実さそのものを疑われることがある」という事実に、耐えられなくなったからです。 よのなか的に当然なのかな、でも、…

くすりの副作用のこと。

薬って、たいてい副作用がありますよね。精神科の薬でいえば、眠気とか吐き気とか、運転しちゃダメですよとか、手がふるえるとかがありがちかしら。でね、これ、共通の副作用ってあると思うんですよ。毎日のむ薬のすべてについての副作用。 ◆ ひとつは、「こ…

わたしは正しい、正確だ、の問題点について。

ASDの人は無礼だとかなんとか言われることがあります。わたし、ASDですとカミングアウトして、「そうかキミは失礼な言動をするやつなんだね」という反応をされたことが何度もあります。何も言ってないうちに、です。 偏見だ! というのはそうなんですけど。…

軽度知的障害/境界域の人の苦労について。

軽度の知的障害、あるいは境界域(知的障害とまではいわないけどIQが低め)のひとは正直言って人生の苦労が多いと思います。 1つ目は福祉です。たとえば年金だって、重度の知的障害なら高い確率で通ります。そのいっぽうで、境界域の場合は、他に病名がつか…

手帳と年金以外のサポートについて。

精神科における「支援」というのはいろいろな意味があります。有名なのは障害者手帳と年金でしょうか。とはいっても、手帳と年金「だけ」ではないです。手帳と年金「だけ」を求められるとちょっと複雑な気分です。というのも、手帳や年金は、日常生活に支障…

ギフテッドになりたかったなとか。

ギフテッドへのあこがれがあります。いまでも。って、わたしのこどものころはそんな概念はなかったわけですけれども、なんていうか、才能を認められて英才教育に組み込まれるみたいなこと、こどものころから夢見ていたなとか。 ◆ わたし、知能検査の中でVC(…

コミュニケーションの作法4。相手を「思いやる」。

適切な発言とは何を指すのでしょう。しゃべりすぎるかと思ったら何も言わない、なにかとバランスがわるいとわたしはしばしば怒られます。 いくつかルールがあるようです。本の内容には重複が多かったので、一部省略してお伝えします。 ◆ 情報の量を適切に。 …

コミュニケーションの作法3。規則違反とその罰則。

ソーシャル・マジョリティ研究(の復習)、つづきます。今回は、たとえば前回のルール(質問には返事、あいさつにはあいさつ、提案には拒否あるいは受諾、などなど)を破った場合どうなるか、です。 ソーシャル・マジョリティ研究: コミュニケーション学の共…

コミュニケーションの作法2。上の句と下の句の組み合わせ。

前回に引き続き、ソーシャル・マジョリティ研究の復習・メモです。詳しくは本を読んでいただきたいんですけど、正直少々難しいと思いますので、だいたいのところを理解してから読むのもいいかなとか。(難しいと感じるのはわたしだけでしょうか) ソーシャル…

コミュニケーションの作法。会話の順番。

ソーシャル・マジョリティ研究という本を読んでいました。ASDなど少数派からみた多数はコミュニケーションの特徴、みたいな本です。 それにそって、復習がてらコミュニケーション論みたいなものを書いていこうと思います。 ソーシャル・マジョリティ研究: コ…

努力ではなく工夫、というのはどういうことかというと。

昨日のツイート。いまできていないことがあるとして、どうするか。「がんばります」が答えになることってめったにないように思うんですよね。 「がんばります」「努力します」という発言に対しては、「もう十分努力してると思うから、これ以上の努力はせずに…

やればできる、といいな、とか。

やればできる、というのは、わたしにとっては残酷なことばです。やってもできないことが、とても多いのです。しかも、「まさか」と言われるようなことが、いくらやってもできない。できない、と信じてもらえないものだから、明るく励まされたり努力をうなが…

バレンタインデーのチョコレートの扱いとASDと定型のおはなし。

もうすぐバレンタインデーですね。 さて。(日本の)バレンタインデーといえばチョコレート。お菓子の会社の陰謀だという話もありますけれども、それにとどまらないいろいろがありうる行事ではあります。 ◆ これね。2種類ありますよね。多少古いかもしれま…

自分的常識とか自分的前提とか。

自分的常識とか自分的前提とかときどき言います。「自分的」なものであると気づいたのは数年前で、それまでは人類にとって普遍的な常識あるいは前提だと思っていました。思うどころじゃありません。そこにコップがある、足元に地面がある、というレベルの「…

本能と論理、あずさの場合。

あいさつは、あいさつという掟なんだから、ひとまず従っておきましょうよ、なんて言うと、それがあずさの道徳の欠如だとか、あずさは人間味を欠いているとか怒られたりします。人間なはずなんですけど、それはさておき。 ◆ あいさつは、共同体の掟にすぎない…

ありがとうはわかる、ごめんなさいはわからない?

自分で自分について不思議だったことがあります。「ありがとう」の意味および用法はとくに言語化の努力もせずだいたい正しくマスターしているのに対して、「ごめんなさい」は全力で言語化してやっと理解できる。 また、こういうのもあります: ケース1 Aさ…

ごめんなさい、っていったい?

謝られてもピンとこない、謝れと言われてもピンとこない。そんな話をしてきました。弁償はわかります。再発予防も必要です。で、謝るって何でしょう。わたしはどこでひっかかっているのでしょう。 以下、問題の解決/再発予防を行うことは前提としてお読みい…

謝罪と記憶とフラッシュバック。

発達障害の精神病理Iなる本を読んでいます。それをふまえて、謝罪の件(皿の件)をもう一回考察してみます。 発達障害の精神病理 1 作者:鈴木 國文,内海 健,清水 光恵 出版社/メーカー: 星和書店 発売日: 2018/09/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) ひさ…

自分が被害にあった場合の思考回路。

立場を逆にして、相手がわたし(ASD)の皿を割ったとしましょう。これがものすごくイメージしづらい。イメージしづらいことが、何かを意味している気がします。それはさておき。 「なぜ皿を割ったのか」 「ごめんなさい」 「いやそうじゃなくて、経緯を」 「…

「なぜ」皿を割ったのか。

「なぜ皿を割ったのか!」 「皿はもともと不安定な場所に置かれていました。皿の管理責任はわたしにあります。弁償します」 「ASDあるある」ですよね、たぶん。極端に書いてますけど。「なぜ」を字義通り解釈するのが問題であるとしばしば書いてあります。で…

謝罪とは何のことか。

謝罪って何でしょうね、と言うと、驚く人も多いと思います。しかし、わたしにはこの謝罪の意味が、長い間不明でした。知的障害というわけではないと思います。たぶん。 ◆ 感謝はわかるんです。相手が何か自分にとってよいことをしてくれた。喜んでいることを…

相対評価、絶対評価。

たとえば、今回のテストで、わたしの点数が70点、Aさんの点数が70点だったとしましょう。さて、次のテスト。 ・わたしの点数が90点、Aさんの点数が70点 → 嬉しい まあ、そうですよね。これは理解していただけると思います。これはどうでしょう。 …

共感の代わりになりうるものについて。

相手の感情に反射的に応答する「共感」は、わたしには無理です。たぶん、一生無理だと思います。じゃあ、相手の感情に応答することが100%無理なのか。100%無理ってほどでもないんじゃないかなあ、というのがわたしの希望的観測です。磨ける技術を磨…

自他分離、の「他」は存在するのか。

前回の記事での、「誤解はつらい、真意は文字通りですでに示されているのだから、別に許してくれる必要はないけれど、そのまま受け取ってほしい」というのが、 ・自分の不安の解消を相手に求めている ・誤解をどうこう、のコストが違うのだから、定型が負担…

「ことばどおり」が指しているもの。

ASDの言うことは言葉通りだ、というフレーズを聞いたことがある人は多いと思います。ローコンテクスト(=前提となる事情が少ない)はずだと自分が思っているから実はハイコンテクストだったとしても察してよね、という意味ではかならずしもないんだ、これ、…

生まれつきとその後の環境とASD「らしさ」。

先日、ASDの人と会う機会がありました。患者ではない同類(ASDの人)と会うというのは、なかなかない機会ではあります。そこで思ったこと。 その人のASD関連トラブルは、わたしのそれとあまり変わらないように思えました。トラブルの種類も、頻度も。わたし…

知能検査で計れるもの5。作動記憶を補う。

作動記憶(WM、ワーキングメモリ)の検査の中に、「算数」ってあるんですよね。問題文が読み上げられるのを聞いて、暗算する。ああいうの苦手です。順唱逆唱(とくに逆唱)よりはマシだけど。さて。 作動記憶が弱い人の中には、まさに暗算で困っている人がい…

知能検査で計れるものその3。ディスクレパンシーと対策。VC>POの場合。

処理速度の説明は勉強が追いついていないのでいったん保留して、各項目の差について少し述べたいと思います。差のことをディスクレパンシーといいます。IQが全体的に高い場合、ディスクレパンシーはものすごく大きく出ることがあります。それはさておき。 い…

知能検査で計れるものその3。作動記憶。

「作動記憶」、ワーキングメモリともいいます。これ、要するに「テーブル」です。テーブルとはなんぞや。これから説明します。 テーブルが広いほうが、ものはたくさん乗ります。あたりまえですね。この、「頭の中のテーブル」が、作動記憶です。 作動記憶を…

知能検査で計れるものその2。知覚統合。

WAIS-III つづき、です。今回はPO=知覚統合について。 vIQ 言語性IQ pIQ 動作性IQ fIQ 全検査IQ VC言語理解 PO知覚統合 WM作動記憶 PS処理速度 「知覚統合」が、単語としてはいちばんわかりづらいかもしれません。「視覚的情報を取り込み、各部分を相互に関…