2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

あずさの父親のこと。父親からみたあずさが、自分の分身であったこと。

わたしのこども時代のお話を、何度か書いてきました。そのなかに、父親がしばしば登場していることにお気づきの方も多いかと思います。父は、未診断ながらまず間違いなくアスペだろうとわたしは考えています。ほぼ全肯定で育ててくれました。中学校に上がる…

アスペについての「よくわからないフレーズ」についての、あずさの見解。

アスペについて、最近はインターネットで専門用語がかんたんに参照できることもあり、わかりづらいことばが誤解されたまま出回っているケースが多いように思います。わたし自身も誤解したりよくわからなかったりしていました。いまも、絶対に100%正しいとは…

アスペについての精神病理9。自分はどこにいるのか、わかってる?

以前、わたしには「他人の視線を感知する能力」が低く、その結果、他人の視線の集大成である「自分自身を観察する自分」がいない、というお話をしました。その結果、空気が読めないというストーリーでした。 アスペについての精神病理2。空気が読めないこと…

上下関係、命令、組織。

昔話です。 先輩「なんで俺の言うこと聞けないの」あずさ「言われた指示はすべて実行したではないですか」先輩「全部いちいち理由を聞いたでしょ」あずさ「聞きましたよ。納得してから実行したいですもの」先輩「それ、言うこと聞いてるって言わないから!」…

安定剤の副作用について。

精神科業界の、「いまそこにある大問題」のひとつです。 ここで安定剤というのは、「マイナートランキライザー」「ベンゾジアゼピン系」といったものとほぼ同義です。デパス/ソラナックス/リーゼ/ワイパックスが代表です。「メジャートランキライザー」に…

アスペについての精神病理8。納得できる・納得したい。

アスペについての精神病理7。他人のいない世界というのはどういうこと? - 精神科医的ひとりごと(仮) のつづきです。納得へのこだわり、ですね。自分で考えて納得してはじめて行動できる、自分の言葉で納得できるまで考え続ける、みたいなことの根底にあ…

アスペについての精神病理7。他人のいない世界というのはどういうこと?

アスペはものと人との区別がついていないとか、他人を他人と思っていない(傍若無人ってことですね)とか、いろいろさんざんな言われ方をすることがあります。たしかにわたしはドアにぶつかったらドアに謝ったりしますけれども、そこまで言われる筋合いはな…

アスペについての精神病理6。不意打ちおよびそのダメージについて。

予定外にとにかく弱いんです、わたし。調子が悪くなってくると、夫と外食してその帰りにコンビニに寄ると言われただけで混乱します。郵便受けが開けられなくなります。どういう郵便物が入っているかわからないからだと思います。 これ、前回の「ボトムアップ…

アスペについての精神病理5。あずさにとっての学習とは。

人間関係から、少し離れます。学習についてです。 「アスペの学習/認知はボトムアップだ」と、いろんなところに書いてあるのです。どういうことなんだろうとずっと不思議だったんですよね。なぜ、はともかくとして、起きていることおよび多数派との違いが少…

アスペについての精神病理4。共感と論理の和は一定らしい?

共感とは、相手の気持ちを読み取ることに加えて、読み取った気持ちに自動的に反応してこちらの感情が動いてしまうことである、と先日読んだ本に書いてありました。「共感?いちおう気持ちは読み取れるというか理解はできるつもりだから、アスペのなかでも共…

精神科における【誤診】のこと。

誤診というのはかなり恐ろしいことばです。昔々、東大で名医という評判をほしいままにした内科医が、解剖と照らし合わせて自らの誤診率を15%と公表したことがありました。多くの人々が「東大の先生ですら、そんなに誤診するのか」と驚いた一方で、多くの医者…

アスペについての精神病理3。ありがちやりとりが苦手なことと、アスペ的誠実さについて。

あずさの対人関係を、アスペについての先人の考察を参照しつつ分析していきます。 前々回および前回の記事の結論としては、 他人の視線(他人が自分について何か思うところがある、ということ)が感じられない 自分自身を観察する自分、というものが発達しな…

アスペについての精神病理2。空気が読めないことの分析。あずさ自身を症例として。

前回の記事で、アスペの子どもにとっては「自分を見ている他人、自分をどうこうしようと思っている他人」を意識するのが難しいということをとりあげました。(全員とは限りません。あずさを例としてとりあげ、あずさがアスペの典型だという仮定に基づき「ア…

アスペについての精神病理。頭の整理をかねて。あずさ自身を症例として。

精神病理というのは、それぞれの病気の症状がどういうわけで形成されてきたのかを考える学問です。昨今、残念ながらあんまり流行りません。なにがどのようにとかどうでもいいから現在の症状を分類して治療すればいいじゃん、という「現実的」な主張と相容れ…

空気とことば。ことばと論理。

アスペは非言語的コミュニケーションが苦手だとかいいますよね。少なくともわたしは苦手です。日々そのように実感して過ごしていると、非言語的コミュニケーションはことばよりすぐれているような気がしてきます。ほんとうかしら。というわけで、いいかわる…

「チェックリスト精神医学」という残念な事態について。

チェックリスト精神医学、という、精神科医としてはぜひとも避けたい悪口があります。何のことか、例をあげましょう。 ある人が、ネット上でうつ病チェックを行い、20問中17問「はい」だったので、うつ病かなと思ってメンタルクリニックに行きました。そ…

僕たちは発達障害を言い訳にしてはならない、の、言い訳、について。

「僕たちは発達障害を言い訳にしてはいけない」という記事、最近話題になってますよね。記事の内容はさておき、このフレーズ、雑だな、と思ったりするんです。本文を読め、はそうなんですけど、非常にインパクトのあるフレーズであり独り歩きしかねない(こ…

思いやりということばに対する恐怖について。

思いやり、ということばが怖いです。いまでも。 「思いやりがない」と怒られることが何度もありました。相手の都合を考えない、自分の都合ばかり主張する、と。「彼(彼女)の立場ならどう思うの」と聞かれて自分の考えを述べると、真面目に考えて正直に答え…

他人の選択肢を奪ったり罪悪感でコントロールしたりしないためには?

自分自身をネタにした脅迫について、以前の記事で書きました。 選択の自由とか相手自身をネタにした脅迫とか、自分の意志が行方不明になってしまうトリックとか。 - 精神科医的ひとりごと(仮) これね、脅迫される側に注目してましたよね。 チーズケーキの…

ASDとPDDとADHDと、医学全般の考え方。

前回の記事で、ADHDの扱いが不明瞭だったのでちょっと補足します。 DSM-VではASDの診断基準もADHDの診断基準も満たす場合、ASDかつADHDです。両方ある=併存、といいます。これに対してICD-10では、PDDとADHD両方の診断基準を満たす人はPDDとして扱われます…

DSM-VとICD-10と、ASDとPDD。

アスペ界隈で最近、DSM-Vということばを目にしませんか。精神障害の診断と統計マニュアルのことです。もともとは研究(→データ解析・統計)のための基準だったものが、世界中で採用されるようになりいつのまにか診断に使われるようになってきた、という「病…

それは「できる」のか否か。(多様性を受け容れる、みたいなことのつづき)

さて、多様性を受けいれる、みたいなこと。じつはおたがいさまだったりします。 - 精神科医的ひとりごと(仮) のつづきです。できる・できない、っていうんですけどね。それって…? というお話です。 たとえば、わたし、高校一年生のとき、体育祭のマスゲー…

多様性を受けいれる、みたいなこと。じつはおたがいさまだったりします。

アスペであろうとなかろうと、という合理的配慮。 - 精神科医的ひとりごと(仮) のつづきです。 アスペの特徴として、 ・まわりがあっさりできることがいつまでたってもできない というのはわりと有名かな、と思います。わたしでいえば、ちょうちょ結びがで…

アスペであろうとなかろうと、という合理的配慮。

合理的配慮って、最近ときどきみかける単語ですよね。思うことはいくつかあります。 わたし、職場でアスペはオープンにしています。でも、「だから」何かを免除されているというわけではありません。「社会常識に欠けているところがあり、察することがものす…

空気の成立と、あずさがその空気を扱いかねる理由。

空気の話、続きます。 前回、空気の成立について仮説を提示しました。この仮説にもとづき、あずさが「なぜ」空気を読めないのかという分析をしてみます。アスペ全員とは限りません。あずさ自身のことです。関連記事↓ あずさのこと。泣いている子どもとサリー…

多数派の行動は、おたがい予測できるからおたがい安心できる、ということなのかもしれない。

空気シリーズ? 続きます。 これまでは、泣いている子どもとあずさ、この2人が登場人物でした。 あずさのこと。空気の正体とあずさのつまづきポイント。仮説です。 - 精神科医的ひとりごと(仮) 前回の結論は、大多数の人々に関して 行動しなければならない…

あずさのこと。空気の正体とあずさのつまづきポイント。仮説です。

「自分がされたらどう思うの!!」についてです。幼稚園児あずさは、「真面目に考えて」放っておいてほしいです、と答え、ますます怒られることになりました。 さて、ここでの模範解答は何でしょう? って、わたしが答えようとすると単なる推測になります(…

あずさのこと。泣いている子どもとサリー・アンの課題。

人前で泣いてはならない、と教わっていた、と前の記事で書きました。 あずさのこと。人前で泣いてはならない、という教えについて。 - 精神科医的ひとりごと(仮) 父親が泣いている子どもなり女性なりを目にしたときに、それが単に泣いているのか他人を操作…

あずさのこと。人前で泣いてはならない、という教えについて。

わたしはこどものころ、「人前で泣いてはならない」と教わりました。「人前では泣いてはならない。多くの女性は、自分の希望を通すために泣いてみせる。それは、言語による交渉を飛ばして自分の要求を無理に通すという卑怯な行為である。あずさが泣いたら、…

アスペ的論理/道徳その19。用語の定義は厳密に。論理的って、何のこと?

自分は論理的ではない、という自己評価のひとをしばしば見かけます。謙遜はともかく、ほんとうにそう思っているひとのことです。 論理的、って、なんでしょうか。 ・数学の証明問題が得意だ ・論理的な話を組み立てることができる ・他人の論理についていけ…