2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧
たとえば、今回のテストで、わたしの点数が70点、Aさんの点数が70点だったとしましょう。さて、次のテスト。 ・わたしの点数が90点、Aさんの点数が70点 → 嬉しい まあ、そうですよね。これは理解していただけると思います。これはどうでしょう。 …
相手の感情に反射的に応答する「共感」は、わたしには無理です。たぶん、一生無理だと思います。じゃあ、相手の感情に応答することが100%無理なのか。100%無理ってほどでもないんじゃないかなあ、というのがわたしの希望的観測です。磨ける技術を磨…
前回の記事での、「誤解はつらい、真意は文字通りですでに示されているのだから、別に許してくれる必要はないけれど、そのまま受け取ってほしい」というのが、 ・自分の不安の解消を相手に求めている ・誤解をどうこう、のコストが違うのだから、定型が負担…
ASDの言うことは言葉通りだ、というフレーズを聞いたことがある人は多いと思います。ローコンテクスト(=前提となる事情が少ない)はずだと自分が思っているから実はハイコンテクストだったとしても察してよね、という意味ではかならずしもないんだ、これ、…
先日、ASDの人と会う機会がありました。患者ではない同類(ASDの人)と会うというのは、なかなかない機会ではあります。そこで思ったこと。 その人のASD関連トラブルは、わたしのそれとあまり変わらないように思えました。トラブルの種類も、頻度も。わたし…
作動記憶(WM、ワーキングメモリ)の検査の中に、「算数」ってあるんですよね。問題文が読み上げられるのを聞いて、暗算する。ああいうの苦手です。順唱逆唱(とくに逆唱)よりはマシだけど。さて。 作動記憶が弱い人の中には、まさに暗算で困っている人がい…
処理速度の説明は勉強が追いついていないのでいったん保留して、各項目の差について少し述べたいと思います。差のことをディスクレパンシーといいます。IQが全体的に高い場合、ディスクレパンシーはものすごく大きく出ることがあります。それはさておき。 い…
「作動記憶」、ワーキングメモリともいいます。これ、要するに「テーブル」です。テーブルとはなんぞや。これから説明します。 テーブルが広いほうが、ものはたくさん乗ります。あたりまえですね。この、「頭の中のテーブル」が、作動記憶です。 作動記憶を…
WAIS-III つづき、です。今回はPO=知覚統合について。 vIQ 言語性IQ pIQ 動作性IQ fIQ 全検査IQ VC言語理解 PO知覚統合 WM作動記憶 PS処理速度 「知覚統合」が、単語としてはいちばんわかりづらいかもしれません。「視覚的情報を取り込み、各部分を相互に関…
ASDの診断において、補助検査といいつつしばしば行われるのが知能検査です。知能検査のうち、WAIS-IIIとよばれるものがしばしば用いられます。ASDの診断には補助的に用いるにすぎませんけれども、本人のためになる情報がいろいろ得られるので、行われる頻度…
たとえば泣いているこどもがいたとして、多数派の人は、「自動的に」こころが動き、「こころから」何かをしてあげる、またその際に、最善の行動を「自動的に」選ぶことが可能なのだろうと推測しています。しかしわたしは、その「自動」が働かない。そんなプ…
20人全員がASDの部署に、定型の人が、係長として配属されてきたとしましょう。 3時締切の書類を抱えている平社員に対して: 「2時半だけど?」 「2時半ですね」 「…… 書類は終わったの?」(ここまで言わないとわからないのか) 「まだ終わっていません…
隣の家の大学生が夜中まで音楽をかけていて迷惑だな、と思っているとしましょう。「夜中は静かにしてください」と言いました。でも効果なし。さて次の日。 「うちには、小さいこどもがいるんです」 と言いに行くのが定型の人だと聞きました。 「うちには、小…
たとえば躁状態の人が外来に来たとしましょう。 「たいへん気分がよいです。この躁状態を続ける薬をください」 たとえば摂食障害でやせすぎている人が外来に来たとしましょう。 「さらにやせる、食欲の減る薬はないですか」 …… 病院に来た目的を、主訴と呼び…
茶碗たまっているね、と言われたからといって茶碗洗いを買って出るべきなのか、という問いについては、もちろんケースバイケースであるとはいえ、イエスであることも多いのだと思います。それはわたしには無理、あるいは、可能かもしれないけど今度は「茶碗…
医者患者関係は本質的に不平等だという考え方があります。考え方というより事実のようにも思います。 わたし自身についていえば、患者さんには怒られるし注意されるし「くすりのんでません」とかあっけらかんと報告されるし、距離がおかしいという指摘もあり…
ここまで、精神科医と心理士、という比較をしてきました。 最大の違いは時間かもしれません。とくに病院勤務の場合、精神科医は「患者さんを診てカルテを書く」だけが仕事ではありません。そもそも、外来患者さんに加えて入院患者さんを受け持ってますし、と…
忖度とか怖いし、とか、指示はことばでお願いします、とかいうと、多数派の人たちから漠然とした反発を感じることがあります。この、「漠然とした」には、わりと重要なポイントが隠されているのではないかとふと思いました。 ASD、なかでも、言語能力高め…
わたし、忖度ということばを目にするたびにイライラします。 これ、ふと思ったんですけど、ASDの(全員じゃないだろうけど)患者さんたちが病棟のルールに納得できないとき、たとえば「それはわたしが決めることで、わたしはそれを許可しない。だからダメ…
「茶碗がたまってきたね」に対し、「そうですね」と答えていたらネガティブな評価を受けた旨のツイートが流れてきました。正解は? 「洗っておきますね」のようですね。じゃあ、茶碗を洗えと言え、とかつい思うんですけれど、ASD的反論はさておきましょう…
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「目上に失礼」って怒られることはよくあるんです。そのいっぽうで、「目下に平等」と言われることもあります。どっちも、コメントに値する、つまり、ふつうではない、ってことですよね。100%ふつうであれば、コメントはしないわけですから。 ここでちょ…
先日中学生と話す機会がありまして、「精神科医とカウンセラーって何が違うのですか」と聞かれました。そういえば、それって、大人でも知らない人はいそうだなとふと思ったので、説明してみます。 まず、時間の使い方が違います。 カウンセラーは、多くの時…
自立支援制度について、いろいろ誤解があるようなので少し説明します。 ◆ これは、「通院費が安くなる制度」です。 診察代と薬の代金が安くなります。札幌市では1割負担になります。 また、月ごとの限度額が設定されます。たとえば限度額が5000円なら、…
カウンセリング(話を聴く、話を聴いた上で薬物療法以外のいろいろな治療を行う)については、心理士さんのほうがきちんとしたトレーニングを受けています。もちろん、優秀な医者もいればいまいちな心理士さんもいますけれども、そうはいっても全体としてみ…
プラセボ効果というものがあります。効くと思ったら効く、というあれです。鰯の頭も信心から。これと信じて、水を飲め。ご想像のとおり、精神科ではかなり有効です。よく効く薬が少ないという事実も、残念ながらあります。治験(新しい薬がほんとうに効くか…
「これまでと現在、そして未来の展望がちゃんと伝わっていれば、病名は聞かれない。病名をたずねられるのは、こっちの負けなんだわ」 …と、習いました。一年目の頃です。 勝ったり負けたりしています。一年目に教えてもらっておいてよかったことのひとつです…
さて、前の記事で、「ひとこと言う」ということをとりあげました。 全部聴いた上で、「過労です。すでにトリプルワークではないですか」とコメントしたとしましょう。比較的無害な例をあげたつもりです。しかし、「とにかく聴く派」の人たちからは以下のよう…
さて、話を聴くことそのものが精神療法で「ありうる」として、それだけなのか、という問題です。聴けばいいのか。聴きさえすれば患者さんは自分で答えを見つけ解決していくのか。 「そのとおり」と言いたい気持ちはあります。実際そのとおり、という人は一定…
「話を聴いてほしい」というリクエストはよくあります。 「話を聴いてほしいとのことです」と、看護師さんに言われることもあります。 「話を聴いてくれなかった!」との不満もしばしば耳にします。 ◆ 話を聴くというのは技術だと思います。「相手がしゃべっ…