2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

アスペの論理/道徳 その18。問いを変形して答えを得る、その2。

文章題ってありましたよね、算数とか数学で。 太郎くんは500円持ってお店に行き、1個100円のアイスを3個買いました。おつりはいくらでしょう。 とか。 500 - 100x3 = 200 というわけで、答えは200円ですね。 500 - 100 - 100 - 100 =200 とかでもいいですけ…

アスペ的論理/道徳その17。思考実験。アスペの国の定型族。定型族の能力を活かす。

今回がいちおう、このシリーズ最終回です。ひょっとしたらまだ書くかもしれないけど。 アスペ98%の国に、数十人の定型族が移住してきて、ひとまずは自治区に住むことになりました。定型族についての研究班が設置され、レポートを発表しております。 7) 定型…

あずさのこと。勉強の価値と自尊心。

冗談で済むような話ばかりではありませんでした。アスペならでは、というだけではないかもしれないですけれども。 成績はよかったんですよ。いわゆる、国語算数理科社会、小学校4教科(中学校以降は、これに英語を加えて5教科ですね)については。地理には…

DSMという、精神科診断の辞書というかマニュアルというか、について。

DSM、最近新しくなりましたね。精神障害の診断と統計マニュアル(現在)第5版のことです。広辞苑くらいのサイズの辞書?です。 これね、ものすごくざっくばらんにいうと、「このリストの中から2項目以上と、あのリストの中から3項目以上が当てはまる場合、…

アスペの論理/道徳その16 思考実験。アスペの国の定形族、就労編。

まだ続きます。 アスペ98%の国に、数十人の定型族が移住してきて、ひとまずは自治区に住むことになりました。定型族についての研究班が設置され、レポートを発表しております。 6) 定型族と就労問題 定形族はわれわれの提供した自治区に居住しているため、自…

アスペの論理/道徳その15 思考実験続き。アスペが定型を療育する?

アスペ98%の国に定形族が移住してきたため定形族の調査が行われました。そのレポートの続きです。 6)定形族に対する支援および療育の必要性 これまで示してきたように、定形族は多数派こそが正しいという誤った信念のもとに生活しており、コミュニケーショ…

アスペ的論理/道徳その14 思考実験としての定形族レポート。いじめに関して。

アスペ98%の国に、定型族が移住してきました。子どもたちによる集団暴行事件が起こり、調査が行われています。 5)集団暴行事件について(「いじめ」という特殊用語が使われる) 定形族の移住後数ヶ月したある日、わが国の指導/観察員が、小中学生による集…

アスペの論理/道徳その13。思考実験つづき。

定型族レポート、続きです。アスペ98%の国に、定型発達の定形族が数十人移住してきて、彼らの思考などを理解するために研究班が設置された、という設定です。遊んでます。 3)定形族における言語・論理 定形族の使用する言語は、形式的にはわれわれと同じで…

アスペ的論理/道徳その12。思考実験。前提を変えて極端を想定する。

思考の進め方で行き詰まったとき、頭の中で前提を変えて極論を展開することで、現実が見えてくることがあります。現実に何かを反映させようとかではないので、単純に楽しめる遊びでもあります。思考実験といいます。 例として、アスペ98%の国に、定型が移住…

アスペ的論理/道徳その11。全員、を警戒する。

他人を責める言説は疑ってかかるのがよいと思います。とくに、「全員」というのは、成り立たない可能性が高いです。仮にいまのところ成り立つように思っても、一人例外が出現すればもう成り立ちません。他人を責めておいて「間違ってました」とか謝るくらい…

アスペという診断、おまけ。診断というものについての精神科医の本音あるいは戦略。

終わりって言ったんですけどね。精神科医にとっての「診断」の意味について、わたしの考えを述べておきます。これは、アスペに限らず、です。 診断および告知って、治療行為そのものなんですよ。 少し? 説明しますね。 診断する 診断結果を本人に告げる 診…

アスペ的論理/道徳その10。確率と掛け算と将来設計。

行動を決めるさい、確率の考え方はかなり便利です。 「一か八か」とか「当たるか当たらないか」とか「受かるか落ちるか」とか、確率50%みたいに聞こえますね。 でも、宝くじは当たるか当たらないか、ほんとに50%でしょうか? さっき買ってきた宝くじ1枚…

アスペという診断5 役所や職場への診断書。

アスペという診断についてその5,ラストです。 診断名は、仕事を休んだり公的サービスを受けたりするための診断書に必要です。 本人→親御さんなど近い人→職場の人など遠目の関係者、と話を進めてきました。今回の相手は主に、役所の人たちです。本人を直接…

アスペという診断について4 ちょっと遠い人たちにとっての診断の意義。

さて、アスペという診断についてその4です。2では本人、3では親御さん(など)にとっての診断の意義(というか、本質的には診断名不要ということ)についてお話ししました。 ここから、理論と現実みたいな話がけっこう入ってきます。 周囲と言っても。本…

アスペという診断について3 周りとくに養育者のための「診断」。

さて、アスペという診断は、周りのためでもあります。本人にとっての診断と共通なものも多いです。 まず、その子・その人に対して、どう接したらいいのか、どういう子育てが適しているのか、情報収集がしやすいことがあげられます。たとえば「自分のこどもの…

アスペという診断について2 本人のための「診断」。

さて、アスペという診断について、3つの側面があるといいました。本人のため・周囲のため・役所のため、ですね。究極的には本人のためであるとはいえ、わけて考えたほうがわかりやすいと思います。 本人のためというのは、 本人が自分について理解して、問…

アスペという診断について1 前提。

アスペ(発達障害、ASD)の「診断」についての、現時点でのわたしの考えを述べておきますね。「現時点」ですから今後変わる可能性もありますし、また、「わたしの」考えに過ぎず、すべての医者が同じ意見を持っているわけではないことにご留意ください。論理…

アスペ的論理/道徳その9。視覚化して整理する。2x2=?

ベン図以外にも、描いてみると役に立つ(と思われる)ツールはいくつかあります。そのひとつが、2x2の表、ってやつです。2x2というのは、横2マス、縦2マスってことですね。 こんな感じです。 意外と便利なんですよ。たとえば、誰かと議論していて、…

アスペ的論理/道徳その8。わかってくれない!どうしてくれよう?

このシリーズの第5回、「答えを出すにはどうしたらいいだろう?」の応用編です。 さて、論理的に考える能力を鍛えて、きちんと結論を出したとしましょう。自分は納得しました。よしよし。で、上司なり同僚なり友人なりにその考えを話しました。 「わからない…

アスペ的論理/道徳その7。図を描く。とくにベン図。

アスペ的な厳密さを実現するためには、論理学の知識があったほうが楽です。「もやもやっとしたまま放置している気がする」って、気になるじゃないですか。アスペは自分に対してもごまかすのが苦手ですからなおさらです。って、そんな難しい話ではない(はず…

アスペ的論理/道徳その6。「みんな」という例題。

「みんな」ってことばがありますね。これについて考えてみたいと思います。 個人的には、わりと雑なことばだと思うのです。雑、というのはつまり、意味がぼやけているということですね。アスペの厳密性となかなか相容れないので居心地悪い、ということかもし…

アスペ的論理/道徳その5。答えを出すにはどうしたらいいだろう?

論理というか考え方のヒントです。 たとえば、うつ病の患者さんが元気になって、薬を減らしたいな、と、主治医であるわたしが考えた、としましょう。 → 薬は減らすべきだろうか? この問いは、大きすぎて答えられません。 → 薬を減らしても大丈夫だろうか? …

アスペ的論理/道徳その4。君子豹変す。

「君子豹変す」という故事成語があります。君子=りっぱな人、ですね。豹変=いきなりがらっと変わる、です。現代では、「りっぱな人は、自分の考えが間違っていると気づいたらためらいなく訂正する」という意味に使われます。せっかくだからりっぱな人を見…

アスペ的論理/道徳その3。関係ないものは分けて考える。

わかる、というのは、「分ける」からきているんだそうですね。分解すれば理解できるのか、って、これも「解」の字が共通していたりします。分けさえすればわかるはずだ、というのには反対ですけれど、分けることで「わかる」に近づくことはたしかにあります…

アスペ的論理/道徳その2。論理的かつ優しい?ってこと。

哲学とか道徳とかの前に、ちょっと足場を固めましょうか。論理はアスペの武器だと思います。いまのところ論理になじんでいないひとも、論理となかよくできる可能性はかなり高いです。ぜんぜんわからなかったら、それはわたしの日本語の修行が足らないせいな…

アスペ的論理/道徳。あたりまえのことばかり。その1。

演繹(えんえき)しましょう。つまり、これはほんとうだよね、ってことから、いろんなことを考えて、広い範囲にあてはめることができる考えに変換する。こっちのほうがアスペになじむかなと思うので、少しお話してみたいと思います。きれいごととか正論(正…

あずさのこと。中学受験に受かったのは誰のおかげ?

小学校高学年のころ、わたしの住んでいた地域の中学校では校内暴力がはやっていました。それを耳にしたわたしは中学受験を決意したのでした。 中学受験の合格発表の日は平日でした。早く帰ってきた父親が見に行ってくれました。合格していたので、しばらくは…

あずさのこと。球技との絶望的な関係。

学校生活における問題の一つは、体育でした。なかでも球技。ドッジボールもバレーボールもテニスも野球も全部です。拷問と言っていいくらいの苦痛でした。 理由はいくつかあります。 純粋に筋肉の問題。走るのが遅いとか。でも、これだけじゃないのです。 協…

あずさのこと。アスペ的言語習得。

あずさの、こどものころのエピソードを続けましょう。 いまでも母親がときどき持ち出すエピソードに、「漫画で、笑い声がケタケタ、と書いてあったからと、笑うときに文字通りケタケタと言っていた」というものがあります。目の前にいる人々の動作よりも漫画…

あずさのこと。抱かれるのを嫌がるこどもでした。

わたし自身発達障害(アスペ)なわけです。実例として、自分自身のことを少しずつ書いてみようと思います。時系列はあとで整理する(つもり)ので、書きやすいところから始めますね。 こどものころのことから始めましょうか。 抱かれるのを嫌がるこどもでし…