2018-01-01から1年間の記事一覧
「アスペには、他人の気持ちはわからない」 とかいう失礼なフレーズがありますよね。それを本人の前で言い放つほうが「他人の気持ちがわからない」だろう、と思ったりもします。たしかに、何かしら間違えることは多い。社会性とか社会的コミュニケーションと…
@aki7ito さんとのTwitter上で@aki7ito さんとのTwitter上でのやりとりをもとにしています。 アスペが(自閉症スペクトラム=ASDや他の発達障害も含めて)治ることはあるのか、という問いについて、です。いろんなひとがいろんな答えを持っていることと思い…
前回、「まとめの図」を載せました。 多数派まとめ 多数派から話を始めたほうがわかりやすそうなのでこっちから話を進めます。 そもそも、赤ちゃんの段階で、「他人の視線を感じる」ことができるようなのです。たとえば目を合わせることができるとか、ほかの…
アスペについての精神病理シリーズも10回を迎えたので、わたしの仮説をちょっとまとめてみます。といっても、けっこうな分量がありますので、ひとまず図だけ… 多数派を分析したほうがわかりやすそうなので、まずは多数派の図だけあげておきますね。前回述べ…
これまでの「アスペについての精神病理」シリーズでこころがけた?ことは、「なるべく一つの原因でいろいろな特徴を説明する」だったのです。これには、精神医学(および医学一般)の考え方がかなり関わっています。 疾患単位、という考えかたがあります。た…
わたしのこども時代のお話を、何度か書いてきました。そのなかに、父親がしばしば登場していることにお気づきの方も多いかと思います。父は、未診断ながらまず間違いなくアスペだろうとわたしは考えています。ほぼ全肯定で育ててくれました。中学校に上がる…
アスペについて、最近はインターネットで専門用語がかんたんに参照できることもあり、わかりづらいことばが誤解されたまま出回っているケースが多いように思います。わたし自身も誤解したりよくわからなかったりしていました。いまも、絶対に100%正しいとは…
以前、わたしには「他人の視線を感知する能力」が低く、その結果、他人の視線の集大成である「自分自身を観察する自分」がいない、というお話をしました。その結果、空気が読めないというストーリーでした。 アスペについての精神病理2。空気が読めないこと…
昔話です。 先輩「なんで俺の言うこと聞けないの」あずさ「言われた指示はすべて実行したではないですか」先輩「全部いちいち理由を聞いたでしょ」あずさ「聞きましたよ。納得してから実行したいですもの」先輩「それ、言うこと聞いてるって言わないから!」…
精神科業界の、「いまそこにある大問題」のひとつです。 ここで安定剤というのは、「マイナートランキライザー」「ベンゾジアゼピン系」といったものとほぼ同義です。デパス/ソラナックス/リーゼ/ワイパックスが代表です。「メジャートランキライザー」に…
アスペについての精神病理7。他人のいない世界というのはどういうこと? - 精神科医的ひとりごと(仮) のつづきです。納得へのこだわり、ですね。自分で考えて納得してはじめて行動できる、自分の言葉で納得できるまで考え続ける、みたいなことの根底にあ…
アスペはものと人との区別がついていないとか、他人を他人と思っていない(傍若無人ってことですね)とか、いろいろさんざんな言われ方をすることがあります。たしかにわたしはドアにぶつかったらドアに謝ったりしますけれども、そこまで言われる筋合いはな…
予定外にとにかく弱いんです、わたし。調子が悪くなってくると、夫と外食してその帰りにコンビニに寄ると言われただけで混乱します。郵便受けが開けられなくなります。どういう郵便物が入っているかわからないからだと思います。 これ、前回の「ボトムアップ…
人間関係から、少し離れます。学習についてです。 「アスペの学習/認知はボトムアップだ」と、いろんなところに書いてあるのです。どういうことなんだろうとずっと不思議だったんですよね。なぜ、はともかくとして、起きていることおよび多数派との違いが少…
共感とは、相手の気持ちを読み取ることに加えて、読み取った気持ちに自動的に反応してこちらの感情が動いてしまうことである、と先日読んだ本に書いてありました。「共感?いちおう気持ちは読み取れるというか理解はできるつもりだから、アスペのなかでも共…
誤診というのはかなり恐ろしいことばです。昔々、東大で名医という評判をほしいままにした内科医が、解剖と照らし合わせて自らの誤診率を15%と公表したことがありました。多くの人々が「東大の先生ですら、そんなに誤診するのか」と驚いた一方で、多くの医者…
あずさの対人関係を、アスペについての先人の考察を参照しつつ分析していきます。 前々回および前回の記事の結論としては、 他人の視線(他人が自分について何か思うところがある、ということ)が感じられない 自分自身を観察する自分、というものが発達しな…
前回の記事で、アスペの子どもにとっては「自分を見ている他人、自分をどうこうしようと思っている他人」を意識するのが難しいということをとりあげました。(全員とは限りません。あずさを例としてとりあげ、あずさがアスペの典型だという仮定に基づき「ア…
精神病理というのは、それぞれの病気の症状がどういうわけで形成されてきたのかを考える学問です。昨今、残念ながらあんまり流行りません。なにがどのようにとかどうでもいいから現在の症状を分類して治療すればいいじゃん、という「現実的」な主張と相容れ…
アスペは非言語的コミュニケーションが苦手だとかいいますよね。少なくともわたしは苦手です。日々そのように実感して過ごしていると、非言語的コミュニケーションはことばよりすぐれているような気がしてきます。ほんとうかしら。というわけで、いいかわる…
チェックリスト精神医学、という、精神科医としてはぜひとも避けたい悪口があります。何のことか、例をあげましょう。 ある人が、ネット上でうつ病チェックを行い、20問中17問「はい」だったので、うつ病かなと思ってメンタルクリニックに行きました。そ…
「僕たちは発達障害を言い訳にしてはいけない」という記事、最近話題になってますよね。記事の内容はさておき、このフレーズ、雑だな、と思ったりするんです。本文を読め、はそうなんですけど、非常にインパクトのあるフレーズであり独り歩きしかねない(こ…
思いやり、ということばが怖いです。いまでも。 「思いやりがない」と怒られることが何度もありました。相手の都合を考えない、自分の都合ばかり主張する、と。「彼(彼女)の立場ならどう思うの」と聞かれて自分の考えを述べると、真面目に考えて正直に答え…
自分自身をネタにした脅迫について、以前の記事で書きました。 選択の自由とか相手自身をネタにした脅迫とか、自分の意志が行方不明になってしまうトリックとか。 - 精神科医的ひとりごと(仮) これね、脅迫される側に注目してましたよね。 チーズケーキの…
前回の記事で、ADHDの扱いが不明瞭だったのでちょっと補足します。 DSM-VではASDの診断基準もADHDの診断基準も満たす場合、ASDかつADHDです。両方ある=併存、といいます。これに対してICD-10では、PDDとADHD両方の診断基準を満たす人はPDDとして扱われます…
アスペ界隈で最近、DSM-Vということばを目にしませんか。精神障害の診断と統計マニュアルのことです。もともとは研究(→データ解析・統計)のための基準だったものが、世界中で採用されるようになりいつのまにか診断に使われるようになってきた、という「病…
さて、多様性を受けいれる、みたいなこと。じつはおたがいさまだったりします。 - 精神科医的ひとりごと(仮) のつづきです。できる・できない、っていうんですけどね。それって…? というお話です。 たとえば、わたし、高校一年生のとき、体育祭のマスゲー…
アスペであろうとなかろうと、という合理的配慮。 - 精神科医的ひとりごと(仮) のつづきです。 アスペの特徴として、 ・まわりがあっさりできることがいつまでたってもできない というのはわりと有名かな、と思います。わたしでいえば、ちょうちょ結びがで…
合理的配慮って、最近ときどきみかける単語ですよね。思うことはいくつかあります。 わたし、職場でアスペはオープンにしています。でも、「だから」何かを免除されているというわけではありません。「社会常識に欠けているところがあり、察することがものす…
空気の話、続きます。 前回、空気の成立について仮説を提示しました。この仮説にもとづき、あずさが「なぜ」空気を読めないのかという分析をしてみます。アスペ全員とは限りません。あずさ自身のことです。関連記事↓ あずさのこと。泣いている子どもとサリー…