知能検査で計れるもの5。作動記憶を補う。

作動記憶(WM、ワーキングメモリ)の検査の中に、「算数」ってあるんですよね。問題文が読み上げられるのを聞いて、暗算する。ああいうの苦手です。順唱逆唱(とくに逆唱)よりはマシだけど。さて。

 

作動記憶が弱い人の中には、まさに暗算で困っている人がいます。

たとえば、スーパーなどでコロッケを揚げているとしましょう。コロッケは1袋20個。135個揚げろと言われてパニック。電卓を取り出して、

135÷20=6.75

とやっているうちに時間切れになってしまう。

 

作動記憶というのは、「頭の中で」操作する能力でしたよね。そうであれば、頭の外でやればいいわけです。といっても、電卓ではなかなか、余りとか表示してくれません。

135÷20=6.75

小数点以下切り捨てで6

20x6=120 と計算(6は記憶)

135−120=15

→6袋と15個

なんてやるには、135÷20=6あまり15 よりよほど高い作動記憶が必要です。

 

というわけで計算用の表をつくりました。

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こんだけ? はい。こんだけです。

 

じゃあ使ってみます。

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135は120と140の中間ですね。上にあるほう、すなわち120に注目します。

120の左側の数字は6ですね。これが袋の数。6袋。

135から120を引きます。15ですね。これがあまり。15個。

(135−120は電卓を使ってもいいと思います。)

 

この表って、「左側の数x20」ってだけの表です。わかってます。でも、こうやって並べて書いて、選びさえすればいいように準備しておけば、作動記憶が低めでも「暗算」できちゃったりするんですよね。いや、厳密には暗算じゃないんですけど、でも、必要とする計算結果は手に入ります。

 

こういう、「省略せず全部書く」「書いたものを覚えなくていいからそのまま使う」みたいなのって、スマートじゃないかもしれないけど、実用的だと思うんですよ。作動記憶が足りない=メモをとれ、とかいうんだけど、メモ以前にもともと書いてあるものを使うことができればもっと速いわけでして。

 

もちろん、小学生諸君は今後のために暗算の練習にも励んでほしいんだけど、でも、どうしても苦手な子は、いろいろ工夫の余地もあるので、「暗算くらいできなきゃまともなおとなになれない」とかいうナゾの呪いのことばには耳を貸す必要はありません。