知能検査で計れるものその3。ディスクレパンシーと対策。VC>POの場合。

処理速度の説明は勉強が追いついていないのでいったん保留して、各項目の差について少し述べたいと思います。差のことをディスクレパンシーといいます。IQが全体的に高い場合、ディスクレパンシーはものすごく大きく出ることがあります。それはさておき。

 

いちばんわかりやすそうなのが、VC(言語理解)が高くてPO(知覚統合)が低い場合、たとえばVC120 PO80 みたいな感じでしょうか。説明してみますね。

 

復習みたいになりますけれどご容赦を。PO(知覚統合)には、3つの検査が含まれています。完成・積木・行列です。

  • 完成が苦手 → 独自視点を持ってしまう、一回思い込むと訂正しづらい、謎に細部にこだわることがある
  • 積木が苦手 → 試行錯誤が苦手、複雑な図形の処理が苦手、分類が苦手
  • 行列が苦手 → パターン認識にもとづいた推理が苦手

これらが複合すると(もちろん、どれかが得意な場合は変わってくるんですけど、おおざっぱに全部低めの場合には、ってことです)どういうことになるでしょう。一回思い込むと考え直すことが難しい、全体を見るのが苦手で、未来予測がしづらい、ということは計画を立てるのも厳しい、ということになりましょうか。なんかひどいことを言ってる気がしてきました。それはさておき。

 

全体を見るのが苦手で一回思い込むと考え直すのが難しいのであれば、全体が見えるようにすればいいのです。複雑な図形を処理するのが苦手ならば、簡単な図形にすればいい。VC(言語理解)が高くてPO(知覚統合)が低い人には、VCの高さを活かして長い文章を書く、しかし書きすぎて本人も読み返せないし結局何のことだかわからなくなる、という人がときどきいます。文字をいっぱい書くと全体がさらに見えづらくなりますよね。(このブログだろうとか言わないでください)

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たとえばこういう図、というほどのものでもないですね。三角は「なので」です。

長い文章でいろいろ詳しく書く(VC:文章のとりあつかい、観察力)ことはできる一方で、自分で書いておいて自分で迷子になる(PO:全体像、すじみち、複雑な図形の解釈)人がときどきいるので、実際にこんなフローチャート(みたいなもの)を書いて整理する助けにすることがあります。

  • 全体像がいっぺんに目に入る
  • 何がどうなってるかすじみちが明確
  • 単純な図形

というわけですね。文字は得意なので入れてあります。もちろん、これをことばで説明するとたぶんもっといいです。ことばでの説明はあっさり頭に入ります(VC=文章の理解)。

 

 

この図、数値にもよりますけれど、じつをいうと逆のパターンにも使えます。VCが低くてPOが高い場合は、「長い文章がそもそも読めない」。でも読む必要がある、という場合に、補助としてこういう図を描き、理解の一助とすることがときどきあります。

VCが高い場合はこれを補助として本文を読んで理解を深める感じになりますけれど、VCが低い場合はこの図が理解できればオッケーって感じです。つまり、同じ図でも使い方が変わってきます。

 

 

もちろん、程度によりますし、それぞれの検査項目の得意不得意によっても対処は変わってきます。とはいえ、「支援」「工夫」という意味では、知能検査はかなり便利です。