くすりの副作用のこと。

薬って、たいてい副作用がありますよね。精神科の薬でいえば、眠気とか吐き気とか、運転しちゃダメですよとか、手がふるえるとかがありがちかしら。でね、これ、共通の副作用ってあると思うんですよ。毎日のむ薬のすべてについての副作用。

 

 

ひとつは、「これをのまないと生きていけないわたし」という自尊心の低下です。数と種類が増えるほど深刻化します。「これをのまないと(本来、自然に眠りがおとずれるはずなのに)眠れないわたし」とかいうのも仲間ですね。精神科の薬にはとくによくあるような気がします。服用期間が長くなると増えるかもしれません。

 

 

もうひとつは、「日々の生活がわずらわしい」です。面倒じゃないですか? 毎日、薬をのまなきゃとちょっとしたプレッシャーを感じて、まちがって2回のんだりしてないよねとちょっと心配して、プチプチ薬を数えて出して、水を用意して、ひょっとしたらそのプチプチは複数あるかもしれなくて、これも数え間違いを心配して、というかたいてい数が合わなくなるから首を傾げて、落とした!って焦って、診察日に薬が残っていることについて申告したものかどうかちょっと悩んでやっぱり黙っていることにして、あるいは足りなくなったけど早めに受診して怒られないかなとかそもそもめんどうだとかスマホを手に悩んで、診察にも会計にも調剤にも薬局の会計にもそれぞれ時間がかかって、みたいなこと、です。

わたし、これ、当然とは思えないんです。仕方ないんだけど。申し訳ないなと思ってはいます。

 

 

多少マシにする手はあります。

一包化といって、複数の薬を小さいビニール袋にまとめてしまうのは、とくに種類が多い場合にはおすすめです。数える手間もなくなりますし、間違えませんし、なくしませんし。この小袋に日付を書くのもよいですね。薬局で協力してくれることもあります。パワーアップバージョンとしては、お薬カレンダーなるものもあります。訪問看護を受けている場合は、訪問看護のひとたちがいろいろ、たとえばお薬カレンダーへの薬のセットなど、やってくれることもあります。

薬の形態はそろえられればそろえるのがよいですね。液体の薬とか、舌の下にしばらくおいておかねばならない薬とか、それだけならいいんですけど、通常の錠剤も同時にのまねばならない場合、わずらわしさは倍増しますから。

回数を減らしてもらうのも手です。寝る前1回とか、けっこう忘れづらいです。医者ってついつい、「患者さんは、療養を最重要タスクとして日々を送っている」とか勘違いするものですから、働いているひとに昼食後の薬とか処方しちゃったりするんです。のめませんってば。もちろん薬にはよりますけれど、相談する価値はあります。場合によっては注射だけでキープ、のみぐすりゼロ、ということも、できることがあります。

待ち時間に関しては、かかりつけ薬局を決めておくとベストです。処方箋を渡して、いったん家に帰って、数時間後にとりにいくと、待ち時間は激減します。顔パスが効けばおたがいやりやすいです。これ、複数の病院にかかっているときには、お薬手帳も自動的に共通になりますし、ついでに「似たような薬」をチェックしてくれたりもするので、ほんとうにおすすめです。

 

 

以前、「とつぜん重い副作用がでました!」と救急できた患者さんがいました。「昔から処方されている薬ですけど?」「ずっとのんでなかったんです。調子が悪いから処方通りのんだら副作用が」なんてことがありました。

 

 

「なぜかのめていない、どうしても薬が余る」という場合、上記の工夫の問題であることが多いので、ぜひ、主治医または薬局に相談してください。薬を、できるかぎりストレスなく、確実にのめるようにするのは、薬の量を調整するのと同じくらい大事ですから。だって、たとえばある薬の量を2倍にしたとして、半分以下しかのんでなかったら、結局増やしたのかなんなのか、わけがわかんないですよね?

 

患者さんの「こころがけ」に頼るのは避けたいなあ、と思っているのです。ただでさえ具合が悪くて病院にかかっているのに、ストレスを増やしてどうする。ですから、たいていのことには工夫の余地がありますから、ぜひ相談してくださいね。