2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

支援する側の事情を想像する。

理由と根拠を明確に、手順を具体的に教えてもらえば「できる」ことが増えるASDの人は、わたしを含めてそれなりの数いると思います。 サンドイッチ作っといて では混乱するとしても、 たまごサンドを2個作っといて、レシピはここにあるよ であれば、上手にで…

共感の効果いろいろ。

共感の本、読み進めています。今読んでいるところでなかなかおもしろいと思った話↓ 共感=相手の考えることや感じていることを正しく推測する、とこの章では定義されていました。面白かったところだけ抜粋: ■ 共感は学習可能 カウンセラーのトレーニングで…

発達障害と障害年金。

発達障害は生まれつきの障害ですし、病気や障害のために働けなかったり生活に支障が出ていたりする人がもらうのが年金である、という定義からすると、障害年金の対象ではあります。しかしこれ、正直言って「通りづらい」です。通りづらいというのは、たとえ…

「なんで怒られたかわかる?」といわれましても。

「なんで怒られたかわかる?」 「わかりません」 …… いまなら、この問答はやばい、と気づくことができます。わたしも成長したものです。こどものころは、わかるかどうか聞かれてわからないと答えただけなのに怒られるのが非常に理不尽である、と感じていまし…

表情を真似るとよいことがありそうな件について

相手と同じ表情を自動的につくってしまうことが共感と関連しているとして、その相手がどうなるのか、という研究がいろいろあるようです。 Aさんが相手と同じ表情をつくったときの相手の変化 ・Aさんに対して親近感を持つ、好意的になる ・自分自身とAさんは…

いま考えているからちょっとまってね、の件について

わたし、診察中にときどき、「いま考えているので少々お待ちください」と言うことがあります。薬をどれにするかとか、いろいろ考えて決めるべきことは多いのです。宿題にする手もあるけれど、外来ではそうもいかないことも多いです。 いや、当たり前といえば…

表情と感情が伝染してたぶん空気をつくる件

共感についての話、つづき。反射的な共感と表情の伝染についてです。例によって、ざっくりと。 要点:表情と感情は伝染する 相手が笑っていれば自分も笑う、相手が嬉しそうにしていれば自分も嬉しくなる、みたいなことです。わざわざ、ではなく、自動的に。…

共感とは……いろいろあります。

共感について本を読み始めました。まず、共感とは何か。これが、8つもあるというんですね。混乱するのも無理はない。 1 相手の状態を知る(嬉しいとか悲しいとか怒っているとか) 2 相手の表情に反応して自分の表情が動く 3 相手が感じているのと同じよ…

わたしにとっての世界の見えかた、定型発達の人にとっての世界の見えかた

いま、「発達障害の精神病理3」という論文集を読んでいます。このなかに、ときどき、「わたしもそうです…… って、定型発達の人は違うんですか」ってことが出てきます。世界の見えかたについて、なんか腑に落ちたことがあったので、メモを兼ねて。仮説ですか…

感覚過敏/聴覚過敏のこと −ASDって治るんですか(6)

たとえば聴覚過敏。困っている人は多いです。まず、わがままだと思われる。わがままだと、本人が思っているケースも多いです。 わがままとの見分け方。 HPが減るかどうか、です。 聴覚過敏の問題ではなく単に不愉快、という場合は、HPは減りません。 聴覚過…

知覚統合と問題解決能力 −知能検査について

WAIS-IIIに「知覚統合」ってありますよね。WAIS-IVでは「知覚推理」というようです。「知覚推理」のほうがわかりやすいような気もするのですけれど、ここでは、WAIS-IIIの用語を採用します。この「知覚統合」についてです。 何を知覚して何を統合するのか、…

自分の中の他人の目について。

「離見の見」という言葉があります。演劇などで、観客の目で自分を見ましょう、という意味です。自分が観客であったら、いま舞台にいる自分はどう見えるか。それを意識しながら演じましょう、ということですね。 これね。定型の人であれば、普段からある程度…

障害福祉サービスのこと。

グループホームに住みましょう、とか、作業所に行きましょう、とか、ヘルパーさんに来てもらいましょう、とか、精神科ではよくある光景です。そして、「手続きの意味がわからない」と、混乱する人が多いです。 これらは、障害福祉サービスと呼ばれます。札幌…

ASDって治るんですか(5)「仕事ならできる」はなぜなのか

ASDの人の中には、人相手の仕事(例:精神科医)であれば、仕事において、プライベートよりずっとうまくやれる、という人達がいるように思います。わたしとか。そして、「人間関係は苦手と言いながら、人相手の仕事はなんとかやれている、ということは本当は…