発達障害について

アスペについての精神病理4。共感と論理の和は一定らしい?

共感とは、相手の気持ちを読み取ることに加えて、読み取った気持ちに自動的に反応してこちらの感情が動いてしまうことである、と先日読んだ本に書いてありました。「共感?いちおう気持ちは読み取れるというか理解はできるつもりだから、アスペのなかでも共…

アスペについての精神病理3。ありがちやりとりが苦手なことと、アスペ的誠実さについて。

あずさの対人関係を、アスペについての先人の考察を参照しつつ分析していきます。 前々回および前回の記事の結論としては、 他人の視線(他人が自分について何か思うところがある、ということ)が感じられない 自分自身を観察する自分、というものが発達しな…

アスペについての精神病理2。空気が読めないことの分析。あずさ自身を症例として。

前回の記事で、アスペの子どもにとっては「自分を見ている他人、自分をどうこうしようと思っている他人」を意識するのが難しいということをとりあげました。(全員とは限りません。あずさを例としてとりあげ、あずさがアスペの典型だという仮定に基づき「ア…

アスペについての精神病理。頭の整理をかねて。あずさ自身を症例として。

精神病理というのは、それぞれの病気の症状がどういうわけで形成されてきたのかを考える学問です。昨今、残念ながらあんまり流行りません。なにがどのようにとかどうでもいいから現在の症状を分類して治療すればいいじゃん、という「現実的」な主張と相容れ…

ASDとPDDとADHDと、医学全般の考え方。

前回の記事で、ADHDの扱いが不明瞭だったのでちょっと補足します。 DSM-VではASDの診断基準もADHDの診断基準も満たす場合、ASDかつADHDです。両方ある=併存、といいます。これに対してICD-10では、PDDとADHD両方の診断基準を満たす人はPDDとして扱われます…

DSM-VとICD-10と、ASDとPDD。

アスペ界隈で最近、DSM-Vということばを目にしませんか。精神障害の診断と統計マニュアルのことです。もともとは研究(→データ解析・統計)のための基準だったものが、世界中で採用されるようになりいつのまにか診断に使われるようになってきた、という「病…

それは「できる」のか否か。(多様性を受け容れる、みたいなことのつづき)

さて、多様性を受けいれる、みたいなこと。じつはおたがいさまだったりします。 - 精神科医的ひとりごと(仮) のつづきです。できる・できない、っていうんですけどね。それって…? というお話です。 たとえば、わたし、高校一年生のとき、体育祭のマスゲー…

多様性を受けいれる、みたいなこと。じつはおたがいさまだったりします。

アスペであろうとなかろうと、という合理的配慮。 - 精神科医的ひとりごと(仮) のつづきです。 アスペの特徴として、 ・まわりがあっさりできることがいつまでたってもできない というのはわりと有名かな、と思います。わたしでいえば、ちょうちょ結びがで…

アスペであろうとなかろうと、という合理的配慮。

合理的配慮って、最近ときどきみかける単語ですよね。思うことはいくつかあります。 わたし、職場でアスペはオープンにしています。でも、「だから」何かを免除されているというわけではありません。「社会常識に欠けているところがあり、察することがものす…

空気の成立と、あずさがその空気を扱いかねる理由。

空気の話、続きます。 前回、空気の成立について仮説を提示しました。この仮説にもとづき、あずさが「なぜ」空気を読めないのかという分析をしてみます。アスペ全員とは限りません。あずさ自身のことです。関連記事↓ あずさのこと。泣いている子どもとサリー…

多数派の行動は、おたがい予測できるからおたがい安心できる、ということなのかもしれない。

空気シリーズ? 続きます。 これまでは、泣いている子どもとあずさ、この2人が登場人物でした。 あずさのこと。空気の正体とあずさのつまづきポイント。仮説です。 - 精神科医的ひとりごと(仮) 前回の結論は、大多数の人々に関して 行動しなければならない…

あずさのこと。空気の正体とあずさのつまづきポイント。仮説です。

「自分がされたらどう思うの!!」についてです。幼稚園児あずさは、「真面目に考えて」放っておいてほしいです、と答え、ますます怒られることになりました。 さて、ここでの模範解答は何でしょう? って、わたしが答えようとすると単なる推測になります(…

あずさのこと。泣いている子どもとサリー・アンの課題。

人前で泣いてはならない、と教わっていた、と前の記事で書きました。 あずさのこと。人前で泣いてはならない、という教えについて。 - 精神科医的ひとりごと(仮) 父親が泣いている子どもなり女性なりを目にしたときに、それが単に泣いているのか他人を操作…

あずさのこと。人前で泣いてはならない、という教えについて。

わたしはこどものころ、「人前で泣いてはならない」と教わりました。「人前では泣いてはならない。多くの女性は、自分の希望を通すために泣いてみせる。それは、言語による交渉を飛ばして自分の要求を無理に通すという卑怯な行為である。あずさが泣いたら、…

あずさのこと。勉強の価値と自尊心。

冗談で済むような話ばかりではありませんでした。アスペならでは、というだけではないかもしれないですけれども。 成績はよかったんですよ。いわゆる、国語算数理科社会、小学校4教科(中学校以降は、これに英語を加えて5教科ですね)については。地理には…

アスペの論理/道徳その15 思考実験続き。アスペが定型を療育する?

アスペ98%の国に定形族が移住してきたため定形族の調査が行われました。そのレポートの続きです。 6)定形族に対する支援および療育の必要性 これまで示してきたように、定形族は多数派こそが正しいという誤った信念のもとに生活しており、コミュニケーショ…

アスペという診断5 役所や職場への診断書。

アスペという診断についてその5,ラストです。 診断名は、仕事を休んだり公的サービスを受けたりするための診断書に必要です。 本人→親御さんなど近い人→職場の人など遠目の関係者、と話を進めてきました。今回の相手は主に、役所の人たちです。本人を直接…

アスペという診断について4 ちょっと遠い人たちにとっての診断の意義。

さて、アスペという診断についてその4です。2では本人、3では親御さん(など)にとっての診断の意義(というか、本質的には診断名不要ということ)についてお話ししました。 ここから、理論と現実みたいな話がけっこう入ってきます。 周囲と言っても。本…

アスペという診断について3 周りとくに養育者のための「診断」。

さて、アスペという診断は、周りのためでもあります。本人にとっての診断と共通なものも多いです。 まず、その子・その人に対して、どう接したらいいのか、どういう子育てが適しているのか、情報収集がしやすいことがあげられます。たとえば「自分のこどもの…

アスペという診断について2 本人のための「診断」。

さて、アスペという診断について、3つの側面があるといいました。本人のため・周囲のため・役所のため、ですね。究極的には本人のためであるとはいえ、わけて考えたほうがわかりやすいと思います。 本人のためというのは、 本人が自分について理解して、問…

アスペという診断について1 前提。

アスペ(発達障害、ASD)の「診断」についての、現時点でのわたしの考えを述べておきますね。「現時点」ですから今後変わる可能性もありますし、また、「わたしの」考えに過ぎず、すべての医者が同じ意見を持っているわけではないことにご留意ください。論理…

アスペ的論理/道徳。あたりまえのことばかり。その1。

演繹(えんえき)しましょう。つまり、これはほんとうだよね、ってことから、いろんなことを考えて、広い範囲にあてはめることができる考えに変換する。こっちのほうがアスペになじむかなと思うので、少しお話してみたいと思います。きれいごととか正論(正…

あずさのこと。中学受験に受かったのは誰のおかげ?

小学校高学年のころ、わたしの住んでいた地域の中学校では校内暴力がはやっていました。それを耳にしたわたしは中学受験を決意したのでした。 中学受験の合格発表の日は平日でした。早く帰ってきた父親が見に行ってくれました。合格していたので、しばらくは…

あずさのこと。球技との絶望的な関係。

学校生活における問題の一つは、体育でした。なかでも球技。ドッジボールもバレーボールもテニスも野球も全部です。拷問と言っていいくらいの苦痛でした。 理由はいくつかあります。 純粋に筋肉の問題。走るのが遅いとか。でも、これだけじゃないのです。 協…

あずさのこと。アスペ的言語習得。

あずさの、こどものころのエピソードを続けましょう。 いまでも母親がときどき持ち出すエピソードに、「漫画で、笑い声がケタケタ、と書いてあったからと、笑うときに文字通りケタケタと言っていた」というものがあります。目の前にいる人々の動作よりも漫画…

あずさのこと。抱かれるのを嫌がるこどもでした。

わたし自身発達障害(アスペ)なわけです。実例として、自分自身のことを少しずつ書いてみようと思います。時系列はあとで整理する(つもり)ので、書きやすいところから始めますね。 こどものころのことから始めましょうか。 抱かれるのを嫌がるこどもでし…

アスペのための問題解決思考法。

アスペのための考え方のヒントです。こう考えたほうが楽かな、とか、こう考えたほうが解決に近づくかな、みたいなこと。合理的に行きましょう。わたしたちには、合理的な思考こそが似合うはずです。 何かトラブルが起きたときには、相手の能力不足の可能性を…

アスペの本質、みたいなこと。つづきのつづき。

アスペの本質はフィルタリング機能が弱いってことなんじゃないか、 って話の続きです。 フィルタリング機能が弱い =シグナルとノイズが分けられない =情報過多におちいりやすい ってことですね。 空気が読めない、って俗に言われる状態も、これである程度…

アスペの本質、みたいなこと。つづき。

アスペの本質はフィルタリング機能が弱いってことなんじゃないか、 って前回書きました。その続き。 フィルタリング機能が弱いってことは、 多くの人が処理できる情報量も アスペには扱いきれない可能性があるってことかなと思うのです。 アスペの赤ちゃんに…

アスペの本質、みたいなこと。

以下個人的意見です。と断った上で。 アスペの本質とは何かって、それこそアスペだから気になるんですよね。 フィルタリング機能が弱いってことが一つだろうと思います。 シグナルとノイズを分ける機能ね。 たくさんの情報の中から、不要な情報を除くのが苦…