アスペという診断について4 ちょっと遠い人たちにとっての診断の意義。

さて、アスペという診断についてその4です。2では本人、3では親御さん(など)にとっての診断の意義(というか、本質的には診断名不要ということ)についてお話ししました。

 

ここから、理論と現実みたいな話がけっこう入ってきます。

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周囲と言っても。本人のために何かしてやろうと熱心な人たちばかりではありません。とりあえず迷惑さえかからなければいいや、とか、仕事の効率がもうちょっと上がってくれたらいいんだけどな、とか、そういう「周囲」っていっぱいいますよね。具体的には職場の人びとのことが多いです。学校の先生が含まれることもあります(熱心な人も多いですけどね)。

こういう人と本人・親御さんと何が違うかって、「最後まで話を聞いてくれない可能性が高い」ってことです。「理解しようとする努力が期待できないケースもある」「下手をすると本人が切り捨てられる可能性がある」ともいえるかな。あんまり期待しないようにこころがけています。もちろん、親身になってくださる方もたくさんいます。熱心さを見誤ると本人の不利益になったりその方に失礼になったりするため、けっこう気を遣います。

 

この場合の診断名も難しいですね。

理解を得るために診断名を持ち出す必要性は高くなります。最後まで話を聞いてくれない可能性が高いということは、キーワードを持ち出したほうがいいということにつながるのです。「彼/彼女はアスペです。なので、できないことは特性由来で本人のせいではない場合もけっこうあります。これこれの配慮をお願いします」ということを可能な限り簡潔に伝えるのが基本かしら。理想論としてはアスペだとかどっちでもいいんですけど、時間・エネルギーのさけない層には仕方ありません。過剰なくらいわかりやすいほうが有益っぽいです。この場合、アスペ「疑い」でも、アスペとして扱ってほしいという意味を込めて、アスペだと言い切ることがあります(本人にも、会社「には」そのように説明すると告げます)。

その一方で、アスペ=とんでもないやつ、とか決めつけられて本人の不利益になるケースもあります。思い込みだったり過去にそういうアスペがいたという実績?がある職場だったり、事情はさまざまです。この場合はもちろん、会社などには伝えずに本人の工夫などで事態を乗り切ることになります。

これは、目の前の本人がわかりやすいアスペかどうかとはまったく別の話だったりします。職場に伝えるべきか、伝えるとしたら誰にどのようにがよいのか、本人と相談する必要があります。前例があればそれを参考にします。ない場合は…… 正式な連絡は保留にして、「信頼できそうな人に」伝えて「みる」ことを提案することが多いです。