2018-01-01から1年間の記事一覧

多数派の行動は、おたがい予測できるからおたがい安心できる、ということなのかもしれない。

空気シリーズ? 続きます。 これまでは、泣いている子どもとあずさ、この2人が登場人物でした。 あずさのこと。空気の正体とあずさのつまづきポイント。仮説です。 - 精神科医的ひとりごと(仮) 前回の結論は、大多数の人々に関して 行動しなければならない…

あずさのこと。空気の正体とあずさのつまづきポイント。仮説です。

「自分がされたらどう思うの!!」についてです。幼稚園児あずさは、「真面目に考えて」放っておいてほしいです、と答え、ますます怒られることになりました。 さて、ここでの模範解答は何でしょう? って、わたしが答えようとすると単なる推測になります(…

あずさのこと。泣いている子どもとサリー・アンの課題。

人前で泣いてはならない、と教わっていた、と前の記事で書きました。 あずさのこと。人前で泣いてはならない、という教えについて。 - 精神科医的ひとりごと(仮) 父親が泣いている子どもなり女性なりを目にしたときに、それが単に泣いているのか他人を操作…

あずさのこと。人前で泣いてはならない、という教えについて。

わたしはこどものころ、「人前で泣いてはならない」と教わりました。「人前では泣いてはならない。多くの女性は、自分の希望を通すために泣いてみせる。それは、言語による交渉を飛ばして自分の要求を無理に通すという卑怯な行為である。あずさが泣いたら、…

アスペ的論理/道徳その19。用語の定義は厳密に。論理的って、何のこと?

自分は論理的ではない、という自己評価のひとをしばしば見かけます。謙遜はともかく、ほんとうにそう思っているひとのことです。 論理的、って、なんでしょうか。 ・数学の証明問題が得意だ ・論理的な話を組み立てることができる ・他人の論理についていけ…

あずさが、脅迫および操作のターゲットとして選定された要因。他人はわたしについて、なにを思っているのか。

「相手自身をネタにした脅迫によって、相手の言いなりに行動することになってしまった」件について、数回にわたって書いてきました。 わたしがターゲットとして選ばれた理由について少し考えてみます。 隠された脅迫に応じてしまいやすい人の特徴。論理が自…

精神科的内部事情。スタートから流派が2つあった件について。

精神科の歴史的有名人といえば、フロイトでしょうか? 「無意識」とか「夢分析」とか言い出した人ですね。業界的にはクレペリンかしら。現在の、統合失調症だとかうつ病だとかそううつ病だとか不安神経症だとか、精神科であつかう病気の分類体系を作った人で…

精神科的内部事情。重要問題に限って結論が出ていない件について。

ちょっと話題を変えて、精神科そのものの話をしましょう。精神科、というよりは、精神医学のお話です。 実をいうと、精神医学というのは、科学というにはちょっと… という側面のある学問です。重要問題に限って、じつはぜんぜん結論が出ていないのです。その…

自分の意に反して相手の言いなりになってしまうことについての二次被害について。

わたし自身の話をしましょう。 とある職場の先輩の、言いなりになっていた時期があるのです。半年くらい続きました。一つだけ例を挙げると、彼の思いつきを論文のスタイルに書き上げるという作業を3ヶ月で終わらせ、和文とはいえ業界の一流雑誌に投稿・受理…

親切にしてあげることと、罪悪感から相手に尽くすことの違いについて。

太郎くんが「精神状態の悪い自分が、3日間くらい寝込むかもしれない」と主張することで、自分の食べたいチーズケーキを花子ちゃんから奪ってしまうお話の続きです。 選択の自由とか自分をネタにした脅迫とか、自分の意志が行方不明になってしまうトリックと…

選択の自由が奪われていることについての責任を、正しい場所に返すということ。

太郎くんが「精神状態の悪い自分が、3日間くらい寝込むかもしれない」と主張することで、自分の食べたいチーズケーキを花子ちゃんから奪ってしまうお話の続きです。 選択の自由とか自分をネタにした脅迫とか、自分の意志が行方不明になってしまうトリックと…

隠された脅迫に応じてしまいやすい人の特徴。論理が自分の役に立たないケース。

前回、太郎くんが「精神状態が悪い自分が、3日間くらい寝込むかもしれない」と主張することで、自分のほしいチーズケーキを花子ちゃんから奪ってしまうお話を書きました。 選択の自由とか自分をネタにした脅迫とか、自分の意志が行方不明になってしまうトリ…

選択の自由とか相手自身をネタにした脅迫とか、自分の意志が行方不明になってしまうトリックとか。

最近ずっと悩んでいたことに解決のきざしが見えてきたので、自分のためもかねて書いてみます。といっても事情を説明すると長くなるので、例でお話ししますね。 太郎くんと花子ちゃんがいて、チーズケーキとアップルパイが1個ずつあるとしましょう。太郎くん…

アスペの論理/道徳 その18。問いを変形して答えを得る、その2。

文章題ってありましたよね、算数とか数学で。 太郎くんは500円持ってお店に行き、1個100円のアイスを3個買いました。おつりはいくらでしょう。 とか。 500 - 100x3 = 200 というわけで、答えは200円ですね。 500 - 100 - 100 - 100 =200 とかでもいいですけ…

アスペ的論理/道徳その17。思考実験。アスペの国の定型族。定型族の能力を活かす。

今回がいちおう、このシリーズ最終回です。ひょっとしたらまだ書くかもしれないけど。 アスペ98%の国に、数十人の定型族が移住してきて、ひとまずは自治区に住むことになりました。定型族についての研究班が設置され、レポートを発表しております。 7) 定型…

あずさのこと。勉強の価値と自尊心。

冗談で済むような話ばかりではありませんでした。アスペならでは、というだけではないかもしれないですけれども。 成績はよかったんですよ。いわゆる、国語算数理科社会、小学校4教科(中学校以降は、これに英語を加えて5教科ですね)については。地理には…

DSMという、精神科診断の辞書というかマニュアルというか、について。

DSM、最近新しくなりましたね。精神障害の診断と統計マニュアル(現在)第5版のことです。広辞苑くらいのサイズの辞書?です。 これね、ものすごくざっくばらんにいうと、「このリストの中から2項目以上と、あのリストの中から3項目以上が当てはまる場合、…

アスペの論理/道徳その16 思考実験。アスペの国の定形族、就労編。

まだ続きます。 アスペ98%の国に、数十人の定型族が移住してきて、ひとまずは自治区に住むことになりました。定型族についての研究班が設置され、レポートを発表しております。 6) 定型族と就労問題 定形族はわれわれの提供した自治区に居住しているため、自…

アスペの論理/道徳その15 思考実験続き。アスペが定型を療育する?

アスペ98%の国に定形族が移住してきたため定形族の調査が行われました。そのレポートの続きです。 6)定形族に対する支援および療育の必要性 これまで示してきたように、定形族は多数派こそが正しいという誤った信念のもとに生活しており、コミュニケーショ…

アスペ的論理/道徳その14 思考実験としての定形族レポート。いじめに関して。

アスペ98%の国に、定型族が移住してきました。子どもたちによる集団暴行事件が起こり、調査が行われています。 5)集団暴行事件について(「いじめ」という特殊用語が使われる) 定形族の移住後数ヶ月したある日、わが国の指導/観察員が、小中学生による集…

アスペの論理/道徳その13。思考実験つづき。

定型族レポート、続きです。アスペ98%の国に、定型発達の定形族が数十人移住してきて、彼らの思考などを理解するために研究班が設置された、という設定です。遊んでます。 3)定形族における言語・論理 定形族の使用する言語は、形式的にはわれわれと同じで…

アスペ的論理/道徳その12。思考実験。前提を変えて極端を想定する。

思考の進め方で行き詰まったとき、頭の中で前提を変えて極論を展開することで、現実が見えてくることがあります。現実に何かを反映させようとかではないので、単純に楽しめる遊びでもあります。思考実験といいます。 例として、アスペ98%の国に、定型が移住…

アスペ的論理/道徳その11。全員、を警戒する。

他人を責める言説は疑ってかかるのがよいと思います。とくに、「全員」というのは、成り立たない可能性が高いです。仮にいまのところ成り立つように思っても、一人例外が出現すればもう成り立ちません。他人を責めておいて「間違ってました」とか謝るくらい…

アスペという診断、おまけ。診断というものについての精神科医の本音あるいは戦略。

終わりって言ったんですけどね。精神科医にとっての「診断」の意味について、わたしの考えを述べておきます。これは、アスペに限らず、です。 診断および告知って、治療行為そのものなんですよ。 少し? 説明しますね。 診断する 診断結果を本人に告げる 診…

アスペ的論理/道徳その10。確率と掛け算と将来設計。

行動を決めるさい、確率の考え方はかなり便利です。 「一か八か」とか「当たるか当たらないか」とか「受かるか落ちるか」とか、確率50%みたいに聞こえますね。 でも、宝くじは当たるか当たらないか、ほんとに50%でしょうか? さっき買ってきた宝くじ1枚…

アスペという診断5 役所や職場への診断書。

アスペという診断についてその5,ラストです。 診断名は、仕事を休んだり公的サービスを受けたりするための診断書に必要です。 本人→親御さんなど近い人→職場の人など遠目の関係者、と話を進めてきました。今回の相手は主に、役所の人たちです。本人を直接…

アスペという診断について4 ちょっと遠い人たちにとっての診断の意義。

さて、アスペという診断についてその4です。2では本人、3では親御さん(など)にとっての診断の意義(というか、本質的には診断名不要ということ)についてお話ししました。 ここから、理論と現実みたいな話がけっこう入ってきます。 周囲と言っても。本…

アスペという診断について3 周りとくに養育者のための「診断」。

さて、アスペという診断は、周りのためでもあります。本人にとっての診断と共通なものも多いです。 まず、その子・その人に対して、どう接したらいいのか、どういう子育てが適しているのか、情報収集がしやすいことがあげられます。たとえば「自分のこどもの…

アスペという診断について2 本人のための「診断」。

さて、アスペという診断について、3つの側面があるといいました。本人のため・周囲のため・役所のため、ですね。究極的には本人のためであるとはいえ、わけて考えたほうがわかりやすいと思います。 本人のためというのは、 本人が自分について理解して、問…

アスペという診断について1 前提。

アスペ(発達障害、ASD)の「診断」についての、現時点でのわたしの考えを述べておきますね。「現時点」ですから今後変わる可能性もありますし、また、「わたしの」考えに過ぎず、すべての医者が同じ意見を持っているわけではないことにご留意ください。論理…