安定剤の副作用について。

精神科業界の、「いまそこにある大問題」のひとつです。

 

ここで安定剤というのは、「マイナートランキライザー」「ベンゾジアゼピン系」といったものとほぼ同義です。デパスソラナックス/リーゼ/ワイパックスが代表です。「メジャートランキライザー」についてはまったく当てはまりませんので注意してください。

あずさの個人的意見です。これ、医者によってずいぶん考えが異なる問題です。

 

安定剤を処方されているひとは多いと思います。精神科や心療内科だけでなく、内科で処方されているひともいるかもしれません。

短期間、症状があるときにのみ使うのであればたいへんよい薬です。

  • 内科的副作用がほとんどない
  • 落ち着く、緊張がほぐれる、不安が減る
  • 素早く効いて素早く効果が切れるものが多い

 

ただし、長い間毎日のんでいるといろいろ問題が発生します。ふらつき・眠気などのどこにでも書いてある副作用もさることながら、

  • いざというときに効きづらくなる(耐性)
  • やめようと思ってもやめられない(依存)

というのが大問題です。耐性のため徐々にに量が増え、いざというときにまったく効かなくなり、というのがよくあるパターンです。

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そして、一回でものみわすれると不安などが非常に強くなります。離脱症状です。薬をのめばおさまるのは当然です。薬がなくて起きている症状に対して薬をのめば、当然「治ります」。

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ちなみにこの場合の薬は、病気はぜんぜん治してません。さらにはこれ、精神科の通院が長引く理由でもあります。治ったのに安定剤依存で通院がやめられない。冗談じゃないのが残念でなりません。

このたぐいのくすりは、3錠以上のんでも効果が同じ、みたいなものが多いです。一度にたくさんのんでも効きませんのでやめておいてください。たくさんのむと、たいして効かない上にすぐに耐性がついて効かなくなります。

 

長期的には、性格に変化が起きることがあります。(やめれば戻ります)

  • 長期計画が立てられなくなり、短絡的・衝動的になる
  • いろいろな問題に、薬で対処してしまう

この解決には「くすりを減らす・やめる」が最善です。本来の病気のくすり(抗うつ薬など)は、続けてください。安定剤には即効性があるため「安定剤こそがメインのくすりだ」と思い込むひとがいます。しかし、安定剤に病気を治す力はありません。痛み止めで骨折は治りませんよね。あれと同じです。

 いきなり全部止めるとけっこうつらいですし止めることに失敗する人も多いです。減らしたり止めたりしようと考えたときには、主治医に相談してどれから減らすか、どんなスピードで減らすか、相談して決めてください。そのほうが確実です。

ときどきのむにはいい薬なんですよ。通院を卒業する際にも、何錠かもっておくとその場をしのぐにはいいかもしれません。ひさしぶりにのむと、ほんとうによく効きます。