アスペについての精神病理6。不意打ちおよびそのダメージについて。

予定外にとにかく弱いんです、わたし。調子が悪くなってくると、夫と外食してその帰りにコンビニに寄ると言われただけで混乱します。郵便受けが開けられなくなります。どういう郵便物が入っているかわからないからだと思います。

 

これ、前回の「ボトムアップ」に関連していると思うのです。この場合の「全体像」とは、時間的なもの、つまり今後の予定です。予定全体のイメージがないわけです。全体像がないまま、個別のものごとに例外が発生した場合のダメージはかなり大きい。少なくとも、全体像があるときのダメージよりずっと大きいと考えられます。

 

前回の話をちょっと振り返りますね。

三角のイメージが最初にあれば、微妙に欠けた三角定規や雑に折られた折り紙も、「ちょっといびつではあるけど」三角形だととらえることが可能になります。イメージ/概念からスタートするやりかたをトップダウンといいます。ひとつひとつの三角からイメージを作り出すのをボトムアップと呼びます。ボトムアップにおいて、三角のイメージを作りつつあるところでこれらの(ちょっとした)例外を三角として与えられると、三角形の特徴=三角形というイメージ形成が混乱しかねません。

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時間や予定にボトムアップを対応させるとどういうことになるでしょうか。

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上は多数派です。全体の予定が先にあるので、ひとつひとつの案件を、全体の流れの中に位置づけることができます。下はあずさです。全体の予定が頭に入っていません。なので、何が起きても全体の流れのなかに組み込むことができず、いっぱいいっぱいになってしまいます。多少は流れがわかっていても、想定外のことはやはり全体の流れに組み込むことができず、混乱することが予想されます。

 

これの対策が、しばしば言われている「スケジュールの可視化」ではないでしょうか。

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可視化されれば全体の流れは頭に入れやすいので、実際に何か起きたときの混乱は減ります。個人的な経験からすると、起こりうるトラブルも予定に入れておくとさらに混乱が減るように思います。仕事で想定外の事態が起きることはよくあります。仕事であれば想定外に対応しやすいのは、起こりうるトラブルが頭に入っているからかな、と推測しています。

 

そうはいってもやっぱりボトムアップではあります。

・全体→細部

ではなく、

・細部→全体

です。

これが何を意味するかというと、細部のダメージが全体に波及しやすいということです。

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想定外の事態が起きると、予定ごと吹っ飛ぶことがあります。少なくともわたしにはしばしばあります。アスペのひとで、業務について、ありがちなトラブルについては予想しているからほぼ完璧に対処できる一方で、完全に想定外のトラブルが起きるとそれがささいなものであってもどうしていいかまったくわからなくなり真っ白になってしまうという人を数人知っています。ひとまずは、想定外が起きたときに「まず」やることをひとつだけ決めておく(たとえば、直属の上司に声をかける)のがいいかなと思ってはいるのですけれど、他にもやりようはありそうです。