表情と感情が伝染してたぶん空気をつくる件

共感についての話、つづき。反射的な共感と表情の伝染についてです。例によって、ざっくりと。

 

要点:表情と感情は伝染する

 

相手が笑っていれば自分も笑う、相手が嬉しそうにしていれば自分も嬉しくなる、みたいなことです。わざわざ、ではなく、自動的に。この2つは、関連していることは確かで、どっちがどっちの原因か結果か、についてははっきりしていないらしいです。

さて。たとえば相手が怒っていて、怒った表情をしているとします。怒りの感情が伝染して、自分も怒るし、怒った表情を作ることになりますよね。もしかしたら、そこにいた3人目も、同様に怒って、怒った表情を作るかもしれません。全員が怒りを共有する、みたいなことが起こりそうです。なんか、雰囲気とか空気とか、作り出されそうな気がします。

たとえば相手が悲しんでいる場合。悲しみの感情が伝染して、自分も悲しくなって、(一瞬)悲しい表情を作ることになります。自分も悲しければ、相手に対して何かしてあげよう、という気持ちが高まるかもしれません。なぐさめるとか。

 

で、ここからがASDというかわたしの話(本には書いてないけど)。

わたし、相手の表情と同じ表情をつくるとか、相手の感情と同じ感情をもつとか、どうも苦手らしいんですよね。とくに、同じ表情を作るのが苦手で、作るとしても、意図的に作っている感じです。これで、いくつかの特徴が説明できそうな気がするんですよね。

まず、泣き落としが効かない。まあ、そうですよね。相手の表情が伝わらず、感情も伝わらないわけですから、「泣いているから」何かをしてあげようと、「反射的に」動いてしまう可能性は低い。泣いている「理由」「事情」には反応します。しかしこれ、冷静に対応している時点で、泣き落とし(非合理的な行動の強制)は失敗しています。

つぎに、感情的になっている相手を落ち着かせるのがわりと得意です。相手が感情的になっているときに、わたしにそれが伝わらず、わたしの表情も動かないとすると、動かない表情が相手には伝わるわけです。そうなると、相手が一瞬、わたしの無表情(?)と同じ表情を作り、わたしの平静な感情と同じ感情を持つことになります。これ、落ち着きそうですよね。なるほど。

雰囲気に巻き込まれないのもそうです。周りの表情や感情に影響されることができないので、その理由に反応するしかなく、反射ではないのでどうしても遅れる。そもそもそれって、雰囲気に反応してません。で、「水を差す」とかいって怒られる。まあそうですよね。わたしがキョトンとしていたら、それが周りに伝わってしまうわけですから。

感情労働にならないのもこれかなあ。事情には反応してますし、どっちかというと「親切」「熱心」と言われはするのですけれど、これも、事情(病気とか)とそこから推測されるつらさに反応しているといわれればそうです。

怒りに対して怒りで反応できず、恐怖しか感じず、結果的に戦うことができず単に逃げる、というのもこれかもしれません。

 

もちろん、この「表情や感情が伝染する・しない」だけでなにもかも説明できるわけではないのですけれど、これ、わりと原始的な反応でもあるようなので、そこがうまくいっていないことは、いろいろな現象につながっているように思うのです。