VC=言語理解について。

VC(言語理解)についてあらためて。WAIS-IIIです。

VC(言語理解)は、以下の3要素から成り立っています。

 ・単語(単語の意味)

 ・類似(単語2つの共通点)

 ・知識(学校で習う知識とか、クイズに近い)

どれも高いとかどれも低いとかがありそうな感じですけれど、点数がばらつく人もわりといます。

 

■ 単語と類似の関係

どっちも「語彙力」だろうと言われればそんな気もします。「単語」はそうですね。言葉の意味を答えられればプラスポイント。知らない単語の共通点は絶対に答えられませんから、「類似」について評価する際には「単語」の点数を参照する必要があります。

「類似」の表すものは、ひとつは【試行錯誤の能力】です。考えたこともないことをたずねられるケースが多いので、「いま、ここで」考えてみて、思いついたことが適切かどうか当てはめてみる、というプロセスが大事になります。一つ思いついてそれがぴったり、というわけに行かない場合も多いでしょうから、試行錯誤が大事なわけです。

また、「類似」は、【抽象的なものごとを考える能力】でもあります。りんごとみかんの共通点は、一般的には「くだもの」です。りんごもみかんも具体的ですけれど、くだものはわりと抽象的です。抽象的なことばを扱えるかどうか、具体的なことがらを抽象的にとらえて考えることができるか。ものごとを考える際には、抽象と具体をいったりきたりするのが効率的なことも多いので、「思考力」の一側面を測っているともいえるでしょう。

 

■ 単語と知識の関係

どっちも「勉強の成果」のようにも思えます。しかしながら、どっちかだけ高い人というのは実在します。

「知識」は、つまり学校の勉強です。学校の勉強をどれだけ頑張ったか、内容をどれだけ覚えているか。学校の勉強をすれば知能が上がるという意味ではありません。学校の勉強にどれだけついていけたか、どれだけきちんと理解できていたか、を、測っています。そうはいっても、これは、真面目さで値が変わってしまいがちで、「地頭力」はあんまり反映していないことも多く、目的によってはそれなりに軽視して分析を進めることもあります。

「知識」は、単語で答えます。ということは、説明の力は測っていません。「単語」は説明力、つまり、ことばを使いこなす能力も測っていますけれど、「知識」はそうではない。説明が苦手な人の場合、知っていても説明できないなんてことがわりとよくあるので、知識は高いけど単語は低い、みたいなことが起きます。そこまで正確な知識じゃなくても「いろいろ総動員して」それなりに補っている人は、「単語」が高くて「知識」が低いケースが多いです。

「知識」は答えが一つであるのに対し、「単語」は、複数の意味がありどれでも正解、という事態が起こりえます。詳しく説明してもあっさり答えてもどっちも正しい、ということもあります。複数の意味を全部並べる人とか、必要以上に詳しく述べてしまう人とかいますよね(わたしとか)。「単語」からは、「今、この場で」求められている答えを推測する能力もみえてくるわけです。なので、点数だけでなく、答えの内容をみることも、場合によっては必要になります。

もうひとつ。「単語」に比べて、「知識」は問題文が長いです。口頭で述べられた問題文を、聞き取って理解する能力が求められます。APD=聴覚情報処理障害とか、そこまでいかなくても、それなりの長さの文章を集中して聞き取って、頭の中で処理して答えを出す、というのが苦手な人っていますよね。これは、作動記憶(ワーキングメモリ)とも関わる話なので、そっちともあわせて分析することが多いです。

 

以前書いたもの↓

asph29.hatenablog.com