知能検査からわかること ー苦労する組み合わせ

2021年、知能検査についての知識と経験は増えた気がします。

 

知能検査から、「苦労する組み合わせ」が見えることもあります。同じ「IQ100」でも、全体的に100なのと、得意不得意がはっきりしている場合とでは、後者のほうが苦労が多いという印象です。

 

苦労する組み合わせ筆頭は、「VC(言語理解)が高く、PS(処理速度)もそれなりに高く、それ以外が低め」であるように感じています。

これね。初対面の人に、能力が高いと思われやすいんですよ。初対面の人の場合、知的能力は「話した印象」から推測することが多いです。語彙が多くわかりやすい話ができて、話のスピードも速い場合、当然、「この人は頭がいい」と思われます。そして、他が低い場合、いろいろと「期待はずれ」の現象が起きます。同じ結果であっても、期待が高い場合と低い場合とでは、評価が異なるのが普通です。期待が高い場合のほうが、評価は低くなりやすい。これはしんどいと、わたしは思います。ただ、こういう人の場合、教えるのが得意な人も多いです。教わる側はスピードが落ちるのが普通ですから、スピードはもともと遅めなほうが、教えるには向いていたりします。また、苦労したぶん、他人に優しい人が多い印象でもあります。

 

「VC(言語理解)が高く、WM(作動記憶)もそれなりに高い場合」も、極端だと苦労が増えます。周りが混乱するんです。本人は、かなりの情報量をいっぺんに扱うことができるので、まとめてしゃべる。言語能力が高い場合、作動記憶への負荷は減りますので、ますます多くの量をまとめてしゃべる。本人は納得していても、周りは混乱します。意識的に分割して話すのがおすすめです。

 

ちなみに、「VC(言語理解)が高く、WM(作動記憶)が低い場合」には、話が次から次へと移り変わって、周りだけではなく本人も何がなんだかよくわからず混乱する、という場面が想像されます。この場合、その人よりWM(作動記憶)が高い人がサポートすると、混乱はかなりおさまります。VC(言語記憶)の高低にかかわらず、WM(作動記憶)が低めの人は、なにかとメモを作って話したほうが自分も相手も混乱しづらいです。相手の話したことについてもメモを取ると吉。

 

こう書くと「VC(言語理解)が高いのは悪いこと」みたいに聞こえるんですけれども、決してそういうわけではありません。VC(言語理解)が極端に低い場合は、「わかっているのに適切な返事ができない」なんてことが起こります。これはこれで怒られたりします。説明が分かりづらいというのも、ありがちです。「いったんわかれば速いんだけどわかるまでに時間がかかる」人もいますね。「頭がよすぎる」人の一部はこれじゃないかな、どうでしょう。

 

ちなみに「PS(処理速度)が高くVC(言語理解)が低い場合」においては、失礼なセリフが多い人がときどきいる印象です。語彙が少なかったり言語の運用能力が微妙だったりして「失礼じゃない言い方」に変換することに失敗して、そのまましゃべってしまう。PS(処理速度)が高いと相手が身構える前にしれっと余計なことを言ってしまって被害が拡大することもあります。PS(処理速度)が高い場合は特に、2周くらい考えてから発言したほうがよい場合もそれなりにありそうです。