双極性障害について、知っておいてほしいことなど。

双極性障害について知っておいてほしいことなど。とくに2型。そうとうつ、というよりは、うつを繰り返す病気です。

 

まず、身体の病気だと考えたほうがいいと思います。いろいろ事情があって落ち込んでいるのとは明らかに違います。身体が重すぎて動かない、足を引きずり歩くの遅い、頭が働かず決断ができない、食べられないあるいは食べすぎる、特定の味がわからないあるいはまったく味がしない、なかなか、ただの「落ち込み」では起きないことばかりです。気分屋とかではないです。わがままとかでは絶対にないです。

 

気分の上下とやる気の有無、心身の動く動かないは、すばやく交替するだけでなく、ばらばらに動くことがあります。混合状態といいます。

たとえば、気分は落ち込んでいるけどなにかしようという気はある。これ、精神科医的にはかなり避けたい事態です。自殺する元気が出てくる人がいます。

気分が最悪のときに頭だけ動いたらろくでもないことを延々と考え続けることになります。精神的自傷行為です。

逆に、気分はそこまで落ち込んでいないけどやる気がない。布団から出られない。顔を洗えない。風呂に入れない。食欲があっても何を食べるか考えるのが面倒。

 

分けて考えることのメリットは、「それでもがんばったこと」について共有しやすくなることです。たとえば、気分はそうでもないけどやる気がない、そんなときに顔を洗ったというのはすでに偉業です。反対に、気分は最悪でやる気だけある、そんなときに自傷行為をしなければそれもすでに偉業です。たとえばそんなこと。しかしながら、どの項目が「うつ」であっても、休んだほうがいいです。これは間違いないです。

 

うつとか主治医に知られると薬を増やされそうだとかいう理由で明るい話をしようと決意して受診する患者さんもいます。しかし、たいていは足を引きずっているので足音でわかります。足音まで偽装できる患者さんは少ないです。なので、諦めて素直に受診しましょう。

 

うつの治療の基本は休養です。休んでください。

2型の場合、数時間寝るだけでもかなりよくなることがあります。布団を敷いて2時間程度「治療ですから」と宣言して堂々と寝るというプチ入院がおすすめです。

 

薬は、気分安定薬が基本です。そうとかうつとかを「予防」する薬なので、効果が実感しづらいのが欠点です。インフルエンザの予防接種も、打ったから体調がよくなるってものでもないですよね? でも、シーズンが終わると「かからなくてよかった」と実感する。それに近いです。なので、気分安定薬は毎日のんでください。

これに対して、いわゆる安定剤(不安時などの頓服)は、骨折で言えば痛み止めの効果しかありません。対症療法ですね。痛み止めで骨折は治りません。なので、しんどいときだけにしましょう。

 

このへんわかっておくと療養がはかどるかしら。そうだといいんだけれど。