障害年金のこと。

ツイッターでも現実世界でも、ときどき話題になる障害年金

これね、まず、2種類あります。

障害「基礎」年金と、障害「厚生」年金です。

前者は国民年金加入者用、後者は厚生年金(+国民年金)加入者用です。

障害基礎年金(国民年金のみの人)→1級と2級

障害厚生年金国民年金+厚生年金の人)→1級と2級と3級

「勤め人」の場合、国民年金+厚生年金

そうでなければ国民年金のみ と考えていいと思います。

ちなみに、「勤め人」の家族の場合は、国民年金のみです。

 

 

国民年金は常時あるけど、厚生年金は仕事についたりやめたりするたびに、あったりなかったりします。ここで効いてくるのが、

「初診日時点での年金支払状況」です。ここで、どっちをもらうか決まります。払ってないともらえません。100.0%払えとまでは言わないけど、です。基準は省略。

逆にいうと、初診日がわからないのは非常にまずい。精神科の場合、診断が二転三転することも多いのですけれど、どういう診断を受けたかとか、その後改善したとか悪くなったとかとは関係なく、「精神科/心療内科メンタルクリニックのたぐいにはじめてかかった」日が初診日となります。

20歳未満が初診日の場合、年金を納めている必要のない時期ということになりますので、この場合、年金は一度も納めてなくてオッケーです。ただし、障害基礎年金のみの支給となります。

 

 

障害基礎年金(国民年金のみの人)→1級と2級

障害厚生年金国民年金+厚生年金の人)→1級と2級と3級

というのは、障害厚生年金の人のほうがもらえる額が多そうだ というだけでなく、障害厚生年金には3級がある、つまり、(額は少ないかもしれないけど)「通る」可能性は障害基礎年金よりは高い、ということでもあります。

 

 

それでね、診断書なんですけど。主治医の日本語能力だけではどうにもなりません。

病名と「基礎的すぎる生活能力チェックリスト」が非常に重要になってきます。

 

 

病名によって、通りやすい/通りづらい はほぼきまっています。

統合失調症は通りやすい。躁うつ病双極性障害)も通りやすいです。

うつ病は通りづらい。発達障害は… 通りやすくはない気がします。

 

 

「基礎的すぎる生活能力チェックリスト」

というのは、たとえば、(一人で)食事がとれるかどうか、というものです。買ってくるなどして食べるものを手に入れて、それなりに栄養バランスを気遣った食事を定期的にとることができるか。一人暮らしを仮定してチェックします。

・ひとりでできる

・誰かが声をかければできる(ごはんの時間よ、とか、肉も食べようね、とか)

・誰かが手を貸せばできる(一緒にスーパーに行って食べるものを選ぶとか)

・多少の手助けではどうにもならない

の4段階でチェックします。

 

食事とか清潔(着替えとか洗面とか風呂とか)とか、買い物とかいろいろ。

 

 

労働能力/最近働いてますか?の欄もあります。そりゃあね。フルタイムで働いている人はやっぱり、障害年金の対象とはいいづらいです。

 

 

ここでわりと勘違いされてる気がするのが、「苦痛が強いかどうかはメインじゃない」というところです。あくまで、「生活能力に支障がある」(障害厚生年金の場合)「労働どころじゃない、働けるとしても不安定だったり短時間だったり給料が安かったりして生活が成り立たない」がポイントです。

だから、「こんなにつらいのに!」だけでは、なかなか申請が通りづらい、かもしれません。

 

 

これに関連して。

「こんなにつらいのになぜ医者は年金申請を勧めてくれないのか」

という声をときどき見聞きします。そうですね。うん。

 

… 勧めづらいというのは本音です。

これ、かなりの時間とお金がかかる手続きです。審査をするのは当然、主治医じゃありません。ということは、自分が勧めてもしも通らなかったら申し訳ないな、と一瞬頭をよぎります。たいていの精神科医は、「年金申請が却下されたり、思ったよりも低い級だった患者さんにものすごく怒られた」という経験を持っているのでなおさらです(わたしだけじゃないはず)。

 

また、たまに、ですけれど、「治ったら障害年金がもらえなくなるのですよね」と、回復し始めるとその回復を拒否する人がいます。これも、少なくとも「完治の可能性がある」病気においては申請を勧めづらい理由の一つになっています。

 

 

ですので、「障害年金…」とお考えの方は、ぜひ、主治医にたずねてみてください。ソーシャルワーカーがいればそっちにたずねたほうがよいこともしばしばあります。年金の支払状況とか、ソーシャルワーカーの職域だったりしますから。