統合失調症の概念
統合失調症は、精神科であつかういちばん重要な病気です。
しかし、その概念は実は、いまだに複数あります。
もちろん、組み合わせて診断しているのだ、というのはそうなんですけど、
これだけいろいろ提唱されたんだというのはやっぱり、難しい病気なのねと思います。
以前よりはよい薬があり、また、社会的サポートも増えたとはいえ、
やっぱり、診断には慎重にならざるをえない病気です。
さて。これまでの「偉い人たち」の、統合失調症についての考え方。
統合失調症と診断するには……
幻覚妄想が決め手である
→テストではだいたい、0点がつきます。よくて10点?
連合弛緩(1つの言葉から次の言葉に移る、そのうつりかたが普通と異なる)が決め手である
→ブロイラーさんでしたっけ。
妄想気分が問題である
→わたしはこう習いました。
妄想気分=いまにも世界が崩壊しそうなせっぱつまった危険を感じている状態?
ただならぬことが起きている、と感じている、ということはだいたい見てわかります。
させられ思考とか、思考吹入とか、自分の考えが操られている感じが決め手である
→シュナイダーはこう言ってますね。一級症状。
「ごく控えめに」と、但し書きがありますけど。
自我障害ともいいます。
考えとか、「ぜったい自分のものであるはず」のものが自分のものでない感じがする。
考えが端から(抜き取られて)消えてしまう、とか。
幻聴???に操られてその通りに行動してしまうこととは、
関係はしているんだけどちょっと違うような気がします。
予後および経過をみてはじめて診断がつくのだ
→まあ、そうなんですけど、はじめて症状が出現したひとはこれでは困りますよね。
急性期症状→治るんだけどちょっとひきこもりがち、など、後遺症が残る
もう一回急性期症状→後遺症の程度が増す
みたいな感じを典型とします。
……一回目からちゃんと治療して後遺症が残らなかったら診断は変わるんだろうか。
いや、解剖と原因と病前性格といまの症状と全体的な予後と、全部セットになるはずだ
→クレペリンだったと思うんですけど、
これは梅毒(感染症)をもとにしています。
これが確立すればいちばんいいんだけど、確立する見通しはいまのところないです。
努力目標みたいな感じです。