問題を分解してフローチャート化する ーASDって治るんですか(4)

A「自分は有名になる、有名になってこそ名が残り人生に意味がある」

B(反対の意を遠回しに伝えるも伝わらず)

A「自分の父親は凡人で、有名にもならず名も残していない。彼の人生には意味がない」

B「有名にならない人にも有意義な人生を送った人はいるんじゃないの?」

A「凡人も、木を植えれば木は後世に残るし、意味のある人生だったと言えると思う」

 このやりとりで、A(ASDの人)の発言にB(医者)が違和感を持っている話の続きです。

わたしはAみたいな発言で周りに「話を逸らすな」と怒られることが多いです。怒られるのはまあいいとして、周りを不愉快にさせるのは避けたいわけです。

 

 

ここで話をややこしくしているのが、

「自分がBの立場だったらどう思うか」

です。

もちろん、まったく気になりません。

…… ふつうは、「自分が相手の立場であれば困るだろう」と思うから自発的に改善に取り組むのだと思うのです。わたしは一歩目でつまづいています。

わたしがBであれば、もしも話を戻したければ、「なるほどね、いいこと言う。ところで、何も残さなくても人生に意味があるとわたしは考えるんだけど、その件どう思う?」と、あらためてたずねると思います。必要なだけ繰り返します。不愉快にはなりません。

つまり、わたしがBの立場に立ってはいけないわけです。Bの立場に立っていたら、「でもわたしであればそうは思わない」というわけで行動は変えられません。

 

 

というわけで、「わたしだったら違和感を感じないし不愉快にもならないけど、多くの人は違和感を感じて不愉快になる」らしい、というところまで進みました。

しかし。

定型の人と同じようにはいかない。なんとなく全体の文脈を意識することはできないわけです。いや、全体の文脈だけに注目することはできるんです。でも、直前の文章に集中するとそれしか見えない。

わたしの場合、これが治る見込みはありません。仮に治るとしても、他のやるべきことならびに残りの人生を考えると間に合いません。100歳になるころにはできるかもしれないけれど、それでは困るわけです。やることは他にもありますし。

 

 

ここからは推論です。

「2段階の逸脱は許されない」

というルールを設定すれば、なんとか話はできそうな気がします。

 

この例文では、もともとA自身のことについて話していて、話がAの父親についてに変わっています。ここで一回、話が変わっているわけです。

一回すでに話が変わったので、その話(父親の話)にとどまるか、もとの話(自分の話)に戻らなければならない。凡人一般の話に進むと、二回話が変わったことになるので、これはルール違反である。また、直前の話(父親の話)に戻らず相手の質問などに直接答えなくても、もとの話(自分の話)に戻ることは許される。

 

本にはそうは書いてなかったんですけど、それが定型的ルールであると考えれば、そのルールに従うことそのものは、わたしの場合は可能かもしれません。

 

直前の発言が、もともとの話題から逸脱しているか否か

逸脱していない→ 直前の発言=もともとの話題に関係していることであれば自由に話してOK

逸脱している→ もともとの話題に戻るあるいは話を広げないように注意しながらその話を続ける (間違って話を広げることのリスクを考えると、もともとの話題に戻るほうが簡単そうではあります)

 

簡略化すると

相手の直前の発言が、もともとの話題から逸脱しているか否か

逸脱していない→ 相手の発言に応じた話ならOK

逸脱している→ もともとの話題に戻る(相手の発言に直接答えることは不要)

でしょうか。

 

このフローチャートでは、

1) もともとの話題は何だったのか

2) 相手の直前の発言はもともとから逸脱しているか

という順序で考えればいいだけです。

(1)ではもともとの話題、(2)では直前の相手の発言。一つずつ視野に入れれば足ります。

 

 

相手の発言ともともとの話題を同時に認識して自分の発言が適しているかどうかを判断するというのが、多くの人には意識せずに可能なようですけれど、わたしには無理です。多数派の人はいろいろ同時に目に入れることができる一方で、わたしにはそれが不可能だからです。

そうであれば、一回に認識するのを一つにして、ステップを分けるしかない。

 

どうでしょうね。