ASDを治したいんですけど、というリクエスト ーASDって治るんですか(1)

わたしの勤める病院も、最近は、初めて受診する人には予約が必要になりました。たいていは看護師かソーシャルワーカーが電話を取ります。だいたいの受診理由をたずねてから、受診の日時と(必要な場合は)担当医師を決めます。

先日、外来の看護師さんがつぶやいていました。「ASDを治したいって電話がけっこうあるんですけど、どうしたらいいんですかね……」

 

あずさが診るかどうかはさておき、そもそも治るんだろうか、というわけです。いい質問です。

 

 

トラブルが減る、という意味では、治る、は可能だと思います。

たとえば自分のパターンと能力を分析して、フローチャートで乗り切るとか、テンプレを研究するとか。病院じゃなくて自助グループでもいいかもしれませんよね。本を読むのももちろんおすすめです。

家事などで困っている場合は、生活について助けを得るのも一案です。代表はヘルパーですね。障害福祉サービスの範疇です。医師の診断書を持って、相談支援事業所というケアマネの若者版で相談するのが基本です。

そもそもトラブルの少ないところにいればいい、という考えかたもあります。適職を探す、というわけですね。これも、自分の能力/得意不得意を分析した上で、職種などの条件をはっきりさせた上でハローワークなどで相談するとか、すでに就職していれば、部署や担当する仕事の種類について再検討するとかの余地もあるかもしれません。

 

 

うつ病は治る病気です。うつ病ではない状態になります。

統合失調症躁うつ病は、完治は難しい病気だとはいっても、症状を軽くすることは可能です。うまくいけば、症状はなくて再発/再燃の予防をするだけ、という状態になるかもしれません。

 

ASDについては、そういう「病気」とはちょっと違う気がする、というのが正直なところです。わたしだけかしら。

 

ASDを治したいんです」という電話が来た、という報告を受けるたびに、ASDを消す、という意味であればそのリクエストは受けられないけど、ASDにまつわるトラブルを解決する、という意味であれば相談には乗れる、と返事をしています。でもそもそも、その説明をするために受診してもらわねばならないのが、難しいところです。