キミには悪霊が憑いている?
悪意の話、もう少し続けます。これがたぶんラスト。
というのも、この、「悪意があると決めつけられる」のが、ものすごく怖くって。悪意がないから許してくれだとか許すのが当然だとか正しさを主張することを優先しているとかそういうのではぜんぜんなくって、たんに、決めつけられるのが「怖い」んです。
なぜそこまで怖いのか考えていました。
◆
見知らぬ街で、店でお金を払って出ようとしたら、
何か失礼な態度をとったらしく注意されました。
そ、そうか、これが失礼に当たるのか。
ふだん気に留めたことがない動作だったので驚きました。
とはいっても、その街ではそうなってるんだし、次から気をつけよう、と決めました。
指摘にお礼を言って去ろうとすると、背後から
「悪霊だ、悪霊が憑いている!」
という声が聞こえてきました。
え? わたし?
「悪霊が憑いているのにそのへんを歩き回るなんて!」
えっと、悪霊?
「悪霊が見えないふりをするなんて極悪人だ!」
見えません…
◆
悪霊=悪意 ですね。
そう考えると、怖くはないですか。
「あなたはわたしに被害を与えた、と伝えると、『わざとじゃない』『悪意がない』と返す人がいる、たいへん不愉快だ、一生孤独に生きてろ」という意味の言説はしばしば目にします。そうなんでしょう。他人に被害を与えておいて、さらに不愉快にさせるのは本意ではないから、なるべく言わないようにしようと思っています。悪意はないと知っておいてくれとも、今後は言うのはやめよっかなとも思っています。
(そういう人はいると思いますよ、とこっそり言っときます。あずさについてはまあ仕方ないとして)
◆
ただ。
何が言いたかったって、
怖いんです、と、言いたかったんだなと。
「だけど悪霊が」
そうですね。わたしには見えないから、悪霊がいるともいないとも言えない。悪霊が憑いているから出ていけと言われれば、従うしかない。でも、ときどきでいいので、「悪霊とか見えないやつもいるんだな」と、思い出していただけると、わたしとしてはとてもありがたいのです。そういう世界だったらいいなと、思ってしまうのです。