精神科および精神科医のこと

DSM-VとICD-10と、ASDとPDD。

アスペ界隈で最近、DSM-Vということばを目にしませんか。精神障害の診断と統計マニュアルのことです。もともとは研究(→データ解析・統計)のための基準だったものが、世界中で採用されるようになりいつのまにか診断に使われるようになってきた、という「病…

精神科的内部事情。スタートから流派が2つあった件について。

精神科の歴史的有名人といえば、フロイトでしょうか? 「無意識」とか「夢分析」とか言い出した人ですね。業界的にはクレペリンかしら。現在の、統合失調症だとかうつ病だとかそううつ病だとか不安神経症だとか、精神科であつかう病気の分類体系を作った人で…

精神科的内部事情。重要問題に限って結論が出ていない件について。

ちょっと話題を変えて、精神科そのものの話をしましょう。精神科、というよりは、精神医学のお話です。 実をいうと、精神医学というのは、科学というにはちょっと… という側面のある学問です。重要問題に限って、じつはぜんぜん結論が出ていないのです。その…

DSMという、精神科診断の辞書というかマニュアルというか、について。

DSM、最近新しくなりましたね。精神障害の診断と統計マニュアル(現在)第5版のことです。広辞苑くらいのサイズの辞書?です。 これね、ものすごくざっくばらんにいうと、「このリストの中から2項目以上と、あのリストの中から3項目以上が当てはまる場合、…

アスペという診断、おまけ。診断というものについての精神科医の本音あるいは戦略。

終わりって言ったんですけどね。精神科医にとっての「診断」の意味について、わたしの考えを述べておきます。これは、アスペに限らず、です。 診断および告知って、治療行為そのものなんですよ。 少し? 説明しますね。 診断する 診断結果を本人に告げる 診…

アスペという診断5 役所や職場への診断書。

アスペという診断についてその5,ラストです。 診断名は、仕事を休んだり公的サービスを受けたりするための診断書に必要です。 本人→親御さんなど近い人→職場の人など遠目の関係者、と話を進めてきました。今回の相手は主に、役所の人たちです。本人を直接…

アスペという診断について4 ちょっと遠い人たちにとっての診断の意義。

さて、アスペという診断についてその4です。2では本人、3では親御さん(など)にとっての診断の意義(というか、本質的には診断名不要ということ)についてお話ししました。 ここから、理論と現実みたいな話がけっこう入ってきます。 周囲と言っても。本…

アスペという診断について3 周りとくに養育者のための「診断」。

さて、アスペという診断は、周りのためでもあります。本人にとっての診断と共通なものも多いです。 まず、その子・その人に対して、どう接したらいいのか、どういう子育てが適しているのか、情報収集がしやすいことがあげられます。たとえば「自分のこどもの…

アスペという診断について2 本人のための「診断」。

さて、アスペという診断について、3つの側面があるといいました。本人のため・周囲のため・役所のため、ですね。究極的には本人のためであるとはいえ、わけて考えたほうがわかりやすいと思います。 本人のためというのは、 本人が自分について理解して、問…

アスペという診断について1 前提。

アスペ(発達障害、ASD)の「診断」についての、現時点でのわたしの考えを述べておきますね。「現時点」ですから今後変わる可能性もありますし、また、「わたしの」考えに過ぎず、すべての医者が同じ意見を持っているわけではないことにご留意ください。論理…