アスペについての精神病理5。あずさにとっての学習とは。

人間関係から、少し離れます。学習についてです。

「アスペの学習/認知はボトムアップだ」と、いろんなところに書いてあるのです。どういうことなんだろうとずっと不思議だったんですよね。なぜ、はともかくとして、起きていることおよび多数派との違いが少し理解できた気がするので書いてみます。(教科書は多数派の視点でアスペを想像して書いてあるのに対し、わたしはアスペの視点で多数派を想像しながら読むので、理解が深まるような手間ばかりふえるような、です)

 

ボトムアップというのは、具体的な事実・ものごとをスタートとして、概念や法則をみいだす、ということです。ボトムアップの反対はトップダウンです。教科書っぽく、多数派の学習パターンから始めます。

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多数派はまず、ぼんやりとしたイメージをつかむことから始めるようなのです。三角形の学習においても、ぼんやりとしたイメージから始めます。たとえば、角が3つある、みたいなことです。そのイメージを持った状態で実際の三角を分析して、三角形についての知識を増やしていきます。角が欠けた三角定規や雑に折った折り紙なども、三角形のイメージはすでにあるので、「だいたい」三角であるとして処理されます。

 

あずさの場合はどうでしょう。

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三角といわれても、イメージが形成されづらいです。たくさんの三角形を見て共通点を探すことで、三角形のイメージを作り出します。わざわざ作り出さなくても教科書に書いてあるんだからそれを読めばよさそうですよね。でも、なぜか、それでは納得できないのです。ぜひとも自分で法則を発見したいですし、自分で発見した法則以外は法則と認めたくないという思いもあります。

ここで、三角形のイメージができあがる前に角が欠けた三角定規や雑に折った折り紙を見かけると混乱します。「だいたい」三角、というその「だいたい」ができあがっていない時期がそれなりに長く続くので、三角みたいだけど三角じゃないかもしれずやっぱり三角かもしれないという図形は大敵です。

 

あずさはバカだとかいわれそうなのでちょっとかばっておきます。ひとたび理解すると、けっこう強いんです。

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あずさが三角形のイメージを手に入れたということは、自分でイメージ(法則)を作り納得したということです。納得した上で教科書などを読み自説を補強するのがよくあるパターンです。これはつまり、「自分の言葉で」理解しているということであり、自分の言葉で理解していることは記憶に残りやすく、また、他人にも説明しやすいです。いわゆる「あたまのよさ」にもつながるのではないかしら。つながるといいな。

 

これらを高級な言葉でまとめてみると、トップダウンボトムアップということになります。

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多数派はトップダウン、全体像スタートです。効率がいいです。道に迷うことも少ない。これに対してあずさはボトムアップ、具体例スタートです。一回頂上まで上がらないと理解したことにならないため時間がかかります。また、山登りと同様、頂上は狭く裾野は広い、ということはボトムアップは頂上に着かずに道に迷うリスクがあります。ただし、一回頂上まで行くしかないということは、頂上に着きさえすれば細部も頂上もそこにいたる道も自分の言葉で理解している可能性が高く、深いレベルでの理解が期待できます。

 

いろいろ応用できそうな話なので、今後少し掘り下げる予定です。余談ですけど、この話、けっこう難しいと評判の教科書に書いてあったんですよね。症例を何度も読み返して、イメージをつかむのにずいぶん時間がかかりました。って、やっぱりボトムアップなんですよね。なるほどです。