ASDとPDDとADHDと、医学全般の考え方。

前回の記事で、ADHDの扱いが不明瞭だったのでちょっと補足します。

DSM-VではASDの診断基準もADHDの診断基準も満たす場合、ASDかつADHDです。両方ある=併存、といいます。これに対してICD-10では、PDDとADHD両方の診断基準を満たす人はPDDとして扱われます。ADHDの特徴を持ったPDDというわけです。

 

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実情に即しているのは、ASDかつADHD、のほうでしょうか。両方の診断基準を満たす人がADHDではなくPDDメインだと決めつける根拠はどこにあるのだと言われると、たぶんあんまりないです。でも、たぶん、わたしだけじゃなく、ICD-10スタイルのほうが「落ち着く」気がする医者はそれなりの数いると思います。

 

医学の前提として、いろいろ症状があるときには、できるかぎり一つの疾患を仮定してそれで全部説明するよう努力しましょう、という診断上のこころがけみたいなものがあります。のどがいたい、咳が出る、鼻水が出る、頭痛がする、って、これは風邪ですね。のどがいたい病気と咳が出る病気を別々に考えることも理論上は可能ですけれど、風邪というひとつの病気ですべてが説明できるなら、ひとつひとつの症状に病名をあてはめることはせず、風邪という病名を採用するわけです。

なので、一つに決めたい。少なくとも、メインは一つだと言いたいわけです。心情的に、二つの診断が同時になりたつというのは、なんとなく居心地悪いんですよね。

 

 

とはいえ現実問題としては、ASD+ADHD の併存を認めたほうが実感に合っていましょうか。これは、わたし自身、今後診療しつつ見定めていこうかなと考えています。